秋田県大潟村『大潟村あきたこまち生産者協会』
地元食材の「すっきり飲める甘酒」 2年で地域を代表する存在に
本格製造に乗り出すときに農業未来ファンドが支援
急速な需要に迅速に対応、製造設備を整えられたことも、「大地の甘酒」のヒットの要因と言える。
販売し始めた2018年3月は月約2万本の製造ラインからスタートし、2019年3月には月10万本の製造ラインに拡大した。1年で約5倍にしたのだ。
商品に自信はあった。実際に販売の感触もいい。だが、拡大する上での実績があるわけではない。そうした挑戦を後押ししたのが、2017年10月に設立された農業ファンド「信用組合共同農業未来ファンド」の存在であった。
このファンドは、フューチャーベンチャーキャピタル株式会社を中心に、第一勧業信用組合、北央信用組合、秋田県信用組合、いわき信用組合、あかぎ信用組合、君津信用組合、糸魚川信用組合、都留信用組合、笠岡信用組合、日本政策金融公庫、恒信サービス株式会社が共同出資し設立。共同出資した地域の信用組合が、相互に連携・協力する「地方連携」の一環で取り組み、6次産業化や法人化を目指す時農業従事者、異業種の農業参入を目指す企業に対し、出資による経営支援を行うものである。
「大地の甘酒」に対しては、地元の秋田県信用組合が窓口となりサポート。生産拡大の投資支援を行った。担当者である、秋田県信用組合・地方創生プロジェクト担当の坂上公成経営支援部部長は、当時を振り返る。
「大潟村あきたこまち生産者協会が、地元でも新たな取り組みを積極的に行う、興味深い企業であることは知っていました。ですが、直接我々が関わることはなかった。でも、ある機会に涌井副社長とお会いし、『大地の甘酒』を試飲させていただくことになり、とにかく飲みやすく美味しかった。商品開発の経緯をお聞きし、ファンドの趣旨にも合うと感じ、協力させていただくことになりました」
今や秋田県信用組合の北林理事長をはじめ、坂上部長、井川本店長や同組合関係者も、「大地の甘酒」の純粋なファンとして、地元スーパーで購入しているという。
今や、秋田を代表する農産加工品となりつつある「大地の甘酒」だが、涌井副社長は、さらなる上を目指している。
「まず、味はもっと美味しくなります。2020年5月頃、さらに設備投資をして、殺菌方法を変え、熱ダメージを減らし、さらにおいしさを保つようになります。これにより、生産効率もあがりますから、さらに量産できる体制が整います。そして、並行して原材料であるあきたこまちの生産量も増やしたい。秋田は発酵の県。秋田県の「あめこうじ」の魅力を伝えるとともに「大地の甘酒」を、秋田、さらには日本の代表的な甘酒に育てることが今の目標です。」
原点となる想いは、大潟村で生き残りをかけた、生産者組織を作った時と変わらない。地元のあきたこまちを作る文化を継続、発展させること。その現代の象徴が、「大地の甘酒」と言えるのである。
(文・写真)種藤 潤(一般社団法人オーガニックヴィレッジジャパン)
(取材日)2019年12月吉日
【参考】
※1 信用組合共同農業未来ファンド
http://kanshintv.com/program/201811219_1.html
※2 好調カテゴリーランキング(株式会社インテージ)
https://www.intage.co.jp/gallery/2017ranking/
https://www.intage.co.jp/gallery/2016ranking/
※3 「FOODEX 美食女子Award 2019(ドリンク部門)」 https://www.jma.or.jp/foodex/beauty/nominate_02.html#anchor_gold