秋田県大潟村『大潟村あきたこまち生産者協会』
地元食材の「すっきり飲める甘酒」 2年で地域を代表する存在に
近年の「発酵」ブームのなかで、ひときわ存在感を増すのが「甘酒」だ。そのブームに後発で参入しながら、特に女性を中心に人気を獲得しているのが、2018年から株式会社大潟村あきたこまち生産者協会が発売した「大地の甘酒」だ。今や同社の看板商品にとどまらず、秋田・大潟村を代表する、地元食材を生かした新たな人気商品になりつつある。
ヒットの陰には、開発に携わった副社長の「飲みたい甘酒」を可能にした、門外不出の地元産「糀」の存在と、本格事業化した際の後方支援体制「信用組合共同農業未来ファンド」(※1)があった。
<株式会社大潟村あきたこまち生産者協会>
〒010-0492 秋田県南秋田郡大潟村字西4丁目88番地
代表:涌井 徹
創業:1987年10月
資本金:9,060万円
売上高:31億5千万円(2019年9月期)
従業員数:約150名
後発ながら2年目で女性を中心に人気商品に
ここ数年で、全国的に「甘酒」を購入、飲む機会が増えた。それは数字を見ても明らかだ。調査会社である株式会社インテージが毎年行っている「好調カテゴリーランキング」(※2)によると、2016年、2017年と「甘酒」が第1位で、購入費が前年比180%超えを記録している。小売店では「甘酒」の陳列する姿が見慣れ、もはやブームを超え定着しつつあるような印象だ。
売り場で目立つのは、大手飲料メーカーの商品だが、なかには米どころの酒造メーカーが作る、地域性を打ち出した商品も見られる。その多くはテレビコマーシャルなど大々的な販売促進活動を行っているが、そうした目立った動きがないものの、売り場ではある商品が昨年からじわりと人気商品になっている。「大地の甘酒」だ。2019年12月現在、月に約7万本が製造され、全国のスーパー、会員制小売店を中心に売れているという。
「発酵」による健康効果などが期待されてか、そうした動きに敏感な女性を中心に人気が高いのも特徴だ。2019年3月に発表された、栄養士などの有資格者、飲食関係者、一般消費者の女性80名で審査する「FOODEX 美食女子Award 2019(ドリンク部門)」(※3)のグランプリに次ぐ金賞を受賞。「子供に飲ませたい」「親子で飲みたい」といった視点での評価も高かったそうだ。
最近では地元秋田県内のスーパーでも置かれるようになった。しかし、「他の商品よりも圧倒的に『大地の甘酒』が先に売れていく」と、関係者でも入手困難な状態だという。
「大地の甘酒」を商品化したのは、秋田県大潟村にある「大潟村あきたこまち生産者協会」だ。今や同社の中核事業のひとつになりつつあるが、企画を立ち上げた当初は、社内の反応は冷ややかだったそうだ。その企画を打ち出した本人である、涌井信代表取締役副社長に話を聞いた。