ちいきん会特設コーナー
(取材・構成 プレジデント社地方創生プロジェクトチーム)
地方初開催となる「第3回 ちいきん会in福島」を記念した特別コンテンツです。
ちいきん会 in 福島 当日詳細情報
~同じ地域で熱い思いをもつ仲間をみつけよう!(下)~
盛り上がりを見せたサークルセッション
テーマピッチの熱いトークが終わり、会場の椅子は登壇者の数13の円陣に組み直された。登壇者は目印に風船を付けて中心に座り、その周りに続々と人が集まる。いよいよサークルセッションの始まりだ。
それぞれのサークルでは、発言者の声を聞き漏らすまいと、みな真剣な表情。時間の経過とともに、次第に声は大きくなり、会場は騒然とした雰囲気に。中でも遠藤俊英金融庁長官が加わった藤本東北大学教授のサークルは、ひときわ議論に熱がこもった。
遠藤:金融機関も交えた新たなビジネスモデルは、先生のおっしゃる通りだと思いますよ。問題は、そうしたことを職員にやらせてくれるような金融機関の組織になっているかということ。だからこそ、先生のおっしゃることが、なかなか広まらない理由になっているのではないか、というのが私の意見です。
藤本:確かに、私たちの塾に金融機関がぽつんと一人だけ送っても、支店の現場ではなかなか学んだ成果を活かし切れていません。地域金融機関が事業者を本気で支援するために組織的な体制を構築することが大きな課題になっています。
地域の中小企業には、大企業と違って「左腕」はいません。一方、アドバイスをすべき立場の金融機関からは、大切な顧客相手の事業の不備を指摘することは難しい。
ですが、塾ではそれを指摘するように指導しています。ただし、どう改善したらいいかを、きちんと提案することが条件です。批判しながら提案するのです。それを続けることで、金融機関の方々も支援力がブラッシュアップされます。お金の話しかできなかったのが、事業の話ができるようになるんですよ。
RIPSを始めて8年、いま234人の卒塾者がおり、その7割が新規事業に着手しています。塾のOB会を通して事業者同士には、いろいろなアライアンスができ、そこに金融機関が入ることによって、融資も活発に行われています。これがリレーションシップバンキングの一つの「場」になっています。やる気があり、可能性を持つ中小企業と、支援者が一つの輪をつくっていく。そうした輪は、すでに宮城、岩手、福島の各県でできています。その輪がつながることで、地域の経済を牽引していく。そうしたモデルを私はつくりたい。
こうした熱い議論が会場内のあちこちで展開され、予定されたセッションの時間は瞬く間に過ぎていった。