ちいきん会特設コーナー

 (取材・構成 プレジデント社地方創生プロジェクトチーム) 

地方初開催となる「第3回 ちいきん会in福島」を記念した特別コンテンツです。

ちいきん会 in 福島 当日詳細情報

~同じ地域で熱い思いをもつ仲間をみつけよう!(下)~


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11月9日、福島県福島市で開催された「ちいきん会in福島」。後半は持ち時間3分で自身のテーマをプレゼンするテーマピッチ、その後、関心のあるテーマを語った各プレゼンターとのフリートークを行えるサークルセッションへと続く。


日時:令和元年11月9日(土) 14:00~18:00
場所:福島民報社 本社ホール


事業者と支援者の共同学習で地域経済は再生する


fukushima2_02.jpg 東北大学 総長特別補佐
地域イノベーション研究センター長
大学院経済学研究科教授
藤本雅彦氏

 充実した内容のパネルディスカッションも終了し、「ちいきん会in福島」もいよいよ佳境に。休憩を挟んで、後半のハイライト、テーマピッチが始まった。当日、13本のピッチが行われたが、会場でとくに注目を集めた4本を紹介する。最初のテーマは『「RIPS・RIAS」~地域の事業者と支援者の共同学習によって地域経済を再生する~』。登壇者は東北大学大学院経済学研究科教授で、地域イノベーションセンター長の藤本雅彦氏である。


藤本:金融庁はよく事業性評価を金融機関に求めますが、それだけで地方銀行は儲かるでしょうか?今日はこれからの地域金融機関が、どのように収益を上げていくべきかについてお話をさせていただきたい。


 まず、現状では多くの場合、企業が事業資金を調達する最終段階で、初めて複数の銀行が呼ばれ、コンペで融資条件を競い合っています。だが、東北地域などでは、地域の中小企業の資金需要自体が限られており、そこに殺到するため、金利競争は厳しく、待つのはレッドオーシャンです。


 一方、ブルーオーシャンは、事業計画の段階から深く関わり、融資の提案をすること。さらに言えば、もっと前の段階、すなわち事業構想やアイデアを経営者と一緒につくり、資金需要そのものを創造することが、これからの金融機関の役割なのではないかと思っています。


 ところが、それを実行するためには、今までの財務や金融の知識やスキルでは、とうてい太刀打ちできません。経営者と一緒に戦略を練り、事業を成功させるための新たな知識やスキルが必要になる。そのためには経営者と支援者が共同で学ぶという「実践的な道場」が必要です。本学では2012年度から「RIPS(地域イノベーションプロデューサー塾)」という事業者向けの事業イノベーションを支援するための塾を開催しています。そして、地域金融機関などの支援者の目利き力や支援力を養成するために、RIPSの事業者と共同学習する「RIAS(地域イノベーションアドバイザースクール)」を2015年度から始めました。


 そのベーシックコースでの3カ月間は、事業者の新規事業構想にアドバイスするだけでなく、支援者自らも新規事業構想を策定し、新規事業がどういうアイデアで事業化できるかを一緒に学びます。


 そして、アドバンストコースでは、支援者が事業者の事業計画を精査して、様々な

課題解決策を提案します。


 さらに、卒塾後は、OB会活動に参加して、金融支援などを通して事業者の新規事業を

継続的に支援しています。すでに234名の事業者と、134名の金融機関職員などの

支援者とのネットワークができています。これが私の考える

リレーションシップバンキングです。


 地域を良くしたいと思う支援者の方々は、ぜひRIASに応募していただきたい。