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第四回
名物料理を磨く。奈良の「猪鍋」を薬膳に
猪鍋の秘訣は「当帰」という大和の漢方薬にあり
そしていよいよ猪鍋が登場。猪は、自然豊かなこの郷の畑に被害を与える獣でもあるが、宿では食材としておいしく食べてもらえるよう、肉を厳選している。柔らかい肉質の若い猪のロースのみを使う。
            
        
             
        
囲炉裏に鍋がかけられ、新鮮な野菜もたっぷりと投入される。猪肉は、塩をもみ込んで洗うこと数回、ワインや酒、山椒や黒胡椒をはじめ、独自のスパイスと手製の酵素ジュースなどに漬け込む……と、その旨味を存分に引き出すべく丁寧な下処理が施されている。
            
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肉、そしてたっぷりの脂肪はぷるぷると柔らかく、臭みとは無縁。食べているそばからぽかぽかと体が温まる。
            
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            そして今回の薬膳料理としての夕食に大事な役割を果たしているのが、こちら「当帰」である(写真手前。左は当帰を煎じた汁。後ろははと麦と竜眼肉)。せり科の植物の根を乾燥したもので、漢方薬にも用いられる生薬の一つ。こちらを煎じたスープが猪鍋に加えられている。
            大東さんによると、「当帰は古くからここ大和で育てられていた漢方薬です。おだやかな効能で、何かに効くというよりは“維持する”というもの。この土地に伝わるものなので、ぜひお宿のお料理に使ってほしいと思いました」 。
            また、徳章さんはこう語る。「苦いといった感じがなく、せり科のせいか香りがよくコクがまして口当たりもよくなったように感じます。これでなお体にいいなら、取り入れない手はありません」。
            滋味あふれる味わいで体が芯から温まり、この夜は布団に入るまで足先もぽかぽかとしたままであった。
        
            
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