弘法大師ゆかりの四国遍路で有名な四国は農業と漁業が盛んです。江戸時代から続く阿波おどりで有名な徳島県は、なると金時や鳴門わかめなどを「とくしま特選ブランド」としてPRしています。麺に欠かせない小麦や塩、出汁に欠かせないカタクチイワシやしょうゆが揃う香川県は讃岐うどんが有名で、自らうどん県を名乗り全国的にPRを行っています。日本最古の温泉と伝わる道後温泉がある愛媛県は、イヨカンや温州ミカンの生産量が常に全国上位、1990年からタイの漁獲量全国一位で松山市や今治市で食べられる炊き込みご飯「鯛めし」、宇和島で食べられるタイの刺身をタレにつけて食べる「宇和島鯛めし」が郷土料理として人気です。高知県はユズ、ショウガ、ナスなどの生産量が常に全国上位です。カツオの郷土料理で有名な同県の黒潮町佐賀では、秋に「土佐さがのもどりガツオ祭」が毎年開かれ大勢の人でにぎわいます。
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そば米雑炊
「そば米」とは、そばの実をゆでてから乾燥させ、皮を取り除いたものをさします。そば米を出汁で煮た雑炊が「そば米雑炊」です。
源平の合戦に敗れた平家の落ち武者が東祖谷村に身を潜めた際に、都を偲んで作ったのがはじまりといわれています。
高い山に囲まれ、稲作に適さない祖谷地方では、そばが主食として作られてきました。
現在は徳島県民の日常のおかずとして、「肉じゃが感覚」で親しまれている一品です。ぼうぜの姿寿司
「ぼうぜ」とは徳島県の方言で、イボダイ(東京ではエボダイ、大阪ではウボゼ、シズなどと呼ぶ地域もある)のことをさします。スダチで調味した酢飯に酢でしめたぼうぜをのせて作る「押し寿司」です。酢の効果でぼうぜの身が柔らかくなっているため、頭までまるごと食すこともあります。
徳島県における寿司の起源は平安時代。平安時代にまとめられた「延喜式」によると、阿波(現在の徳島県)から朝廷に寿司が贈られた記録があります。
徳島県では夏の終わりがぼうぜの漁期となり、古くから秋の祭りやお祝いに欠かせない一品です。
現在もよく食されている料理で、ぼうぜの代わりにアユやアジを用いたものなど、様々な姿寿司が存在し、地元スーパーでも売り場にならんでいます。
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讃岐うどん
コシの強さが特徴のうどんです。ざるやぶっかけ、釜揚げ、季節の野菜が入ったしっぽくなど、様々な食し方が存在します。
雨が少なく温暖な気候の香川県では、良質な小麦と塩が作れます。また、出汁に使われるイリコの原料のカタクチイワシが近海でとれ、しょうゆの生産も盛んです。全ての材料が県内でそろうことから、香川県にうどんが定着しました。
県内に1,000軒ちかくのうどん屋があるとされ、県内外から多くの人がうどん店巡りに訪れます。あんもち雑煮
煮干しと白味噌の汁にダイコン、ニンジンなどを入れ、丸もちを入れて食すお雑煮。あんこ入りの餅を使うのが特徴。
白味噌を使うのは、保元の乱(1156年)に敗れ、讃岐に流された崇徳上皇のもとへ京から行き来する人々によって伝えられたといわれています。もちの中にあんを入れたのは江戸時代、「讃岐三白(塩、砂糖、木綿)」と呼ばれた名産品の砂糖を正月に楽しむため、庶民が小豆あんもちの形でこの料理に取り入れたそうです。
現在でも、香川県では正月に多くの家庭で食されています。
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宇和島鯛めし
宇和島でとれた新鮮なマダイの刺身を、出汁、しょうゆ、酒、卵黄などで作ったタレと混ぜ、アツアツのご飯にのせ、薬味をかけて食す丼料理。
室町時代から戦国時代にかけて活躍した、村上水軍が戦中に手軽に食べられる料理として考案したのがはじまりとされます。その後、漁師の間で船上料理として受け継がれてきました。
瀬戸内海に面する愛媛県はマダイの生産量が多く、マダイは愛媛県の県魚です。現在では、地元の郷土料理店が連携して「どんぶり王国宇和島」という企画を立ち上げ、宇和島鯛めしをはじめとした様々な丼料理を全国に向けて発信しています。じゃこ天
愛媛県の港に揚がる新鮮な小魚を骨ごと皮付きのまま、すり身にして形を整え、そのまま油で揚げます。
1615年に、宇和島藩の初代藩主の伊達秀宗が仙台から職人を呼び寄せて、かまぼこを作らせたのがはじまりだと伝わります。
愛媛県では魚のすり身を揚げたものを「天ぷら」と呼んでいたことから、はじめは雑魚天(ざこてん)と名付けられ、それがいつからか「じゃこてん」と呼ばれるようになりました。地域によっては「じゃこてんぷら」や「皮てんぷら」、「天ぷら」と呼ばれます。
県内には販売店が多く、店毎の特徴を「食べ歩き」で楽しむ観光客も多くみられます。おやつとしても人気の品。
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かつおのたたき
カツオの表面を焼いて厚く切り、ミョウガやニンニク、ネギなどの薬味をのせて食します。初夏、若葉の頃の上り鰹(初鰹)は香り。秋、下り鰹(戻り鰹)は脂ののり。年に2回の旬を楽しめます。
カツオは傷みやすいことから昔は生食禁止令が出されていました。それでも生のカツオを食べたい土佐(現在の高知県)の人々が、表面を焼いて中は生のカツオを「焼き魚」として食べはじめたのが発祥と伝わります。
地域ごとに作り方や薬味が少しずつ違い、炙ったのち氷水に浸すか否か、冷まして食すか、塩だけか、酢と酒をかけるだけか、ポン酢をかけるかなど食べ方は様々です。土佐を代表する郷土料理です。皿鉢(さわち)料理
高知県でとれる食材を豪快に盛り合わせた料理です。大皿に刺身、寿司、揚げ物、煮物、酢の物、果物などを盛り合わせます。
もともとは神事の供え物とされ、神様に供えた後に、分けあって食べたことがはじまりと伝わります。
昭和43年から「南国土佐皿鉢祭」が開かれ、料理の伝承と技術の向上が図られています。温暖な気候と豊かな自然に恵まれた高知県では、海、山、川の新鮮な食材が豊富に手に入ります。食べたい料理を自分のお皿に取って、好きなだけ食べる皿鉢料理は、自由を尊重する高知県ならではの料理です。