都道府県別人口ランキング1位の東京都と2位神奈川県が含まれる南関東には全人口の約3割が在住しており(2017年)、日本最大の経済圏を形成しています。 埼玉県は昔から小麦の生産が盛んなことから県内にうどん文化が根付いており、加須には300年以上の歴史がある手打ちうどんや、味噌と野菜等を入れて冷たい出汁で食べる冷汁うどんなどがあります。漁業が盛んな千葉県にはイワシのごま漬けや、なめろうなど、魚を用いた郷土料理が多く伝わります。400年以上の歴史がある勝浦朝市は、地元民と観光客でにぎわいます。2018年に訪日外国人が初めて3,000万人を超え、その約半数が訪れる東京都はアメリカの大手旅行雑誌が実施した投票で4年連続、世界で最も魅力的な大都市に選出。神奈川県には訪日外国人の定番旅行先「ゴールデンルート」である温泉街の箱根や鎌倉などの観光地があります。
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冷汁うどん
味噌とゴマ、お好みで砂糖を加えすり鉢ですったものに、キュウリとナス、シソやミョウガなどの薬味を入れ、冷たい出汁や冷水でのばしたつゆに、うどんをつけて食す郷土料理です。川島町地域では「すったて」ともいわれています。
忙しい農作業の合間や食欲がない時でも手軽に食べられる栄養食として広まったのが起源とされています。最近では珍しくなりましたが、旧家ではお盆に親戚一同が集まり、宴席の最後のしめに食されていました。
平成22年に開催された「第6回埼玉B級ご当地グルメ王決定戦」で優勝したことから各飲食店でも人気のメニュー。各店の味を楽しむことができます。いが饅頭
まんじゅうに赤飯をまぶした郷土菓子です。赤飯をまぶした様子が、栗のいがのように見えることからその名が付けられたといわれています。
お祝いのごちそうや農作業の合間のおやつとして、加須(かぞ)市や鴻巣市、羽生(はにゅう)市などの北埼玉地域に古くから伝わっています。発祥は、ボリュームを出すために赤飯の中に饅頭を入れたのがはじまりという説や、赤飯と饅頭を両方まとめて作ってしまおうという知恵の料理ともされています。
現代でもお祭りやお祝いの席などでよく作られています。家庭においては、子供たちのおやつとして食べられています。
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太巻き寿司
のりや玉子焼きに酢飯、魚、かんぴょう、シイタケ、ニンジンなどを巻いて作る太巻き寿司。花や動物など、様々な絵柄を色鮮やかに描き出すのが特徴です。「太巻き祭り寿司」とも呼ばれます。
古くは江戸の台所といわれた千葉県の、豊かな食を祝うごちそうとしてうまれ、現在も冠婚葬祭やもてなしの席など、人が集まる時に食されています。
技術の伝承を目的として太巻き寿司の講習会が開かれ、その作り方(巻き方)が受け継がれる太巻き寿司。鮮やかな絵柄と栄養価の高さから、子供たちのお弁当としても人気です。イワシのごま漬け
頭とはらわたを取ったカタクチイワシを塩漬けにし、ゴマ、ショウガ、ユズ、赤唐辛子とともに、2~3日間酢漬けにしたものです。
日本一のイワシの好漁場、千葉県の九十九里沖では、大量に獲れるイワシを長く保存する方法が昔から伝えられてきました。塩辛、まぶりずし、くさりずし(なわずし)、ごま漬け、鹿島漬などがそうです。
その中でもごま漬けは日常のおかずに、酒の肴に、また行事食として広く親しまれ続けています。
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深川丼
アサリやハマグリ、ネギ、油揚げなどで作られる味噌汁をご飯の上にぶっかけて作られる「深川丼」。同じ材料で作られる炊き込みご飯「深川飯」も存在します。
江戸時代、深川(現在の江東区)は海に面しており貝の好漁場でした。船上で手軽に食べられる栄養補給食として漁師が作りはじめた「深川丼」。庶民の味としても、酒やダイコンを加えるなどして家ごとの工夫が行われ親しまれていました。
現在では、清澄白河や門前仲町を中心に深川丼を提供する料理店が立ち並びます。くさや
伊豆諸島の特産品である「くさや」。江戸時代に生産がはじまったとされます。当時は生活に欠かせない貴重な塩を年貢として幕府に納めており、そのために魚の塩漬けは塩水を繰り返して使っていました。その塩水に魚の成分が蓄積して発酵し、独特の風味が加わった「くさや液」。これにムロアジやトビウオなどを漬けこんだ後、天日干ししたのが「くさや」です。
現在でも新島、八丈島、伊豆諸島で盛んに作られています。
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へらへら団子
小麦粉や上新粉で団子を作り、あんこをからめた郷土菓子です。江戸時代から、神奈川県横須賀市佐島に伝わる伝統料理であり、夏に行われる船祭りの際に、豊漁と無病息災を祈願して奉納されます。団子を押しつぶして平たくした形からへらへら団子と呼ばれ、農家のおやつとして昔から食べられています。
現在でも船祭りの際に各家庭で作られ、集まる親族などでへらへら団子を楽しみます。かんこ焼き
春の山菜や秋のキノコなど、四季折々の地元食材を小麦粉の皮に包んで焼き上げた、相模原市津久井地区に江戸時代から伝わる伝統の味。
雅楽で使われる太鼓「鞨鼓(かっこ)」に、見た目が似ていることからその名前がつきました。
昔は稲作に適さない山間地であったため、ご飯の代用食として食べられていましたが、現在では身近な食材を包み、おやつとして食べられています。地元の女性グループが風土を生かした手作りの味として、様々な具材を開発しながらかんこ焼きの製造販売に取り組んでいます。