亀岡市役所の皆さんの奮闘
地方創生イノベーション発想塾・第1回が開催されました。
京都府亀岡市役所の皆さんの“脳ぐるぐる”体験とは?
地方創生も、AIと共に発想する時代へ
従来の延長線上にない“新しい発想”には、どうしたらたどり着けるのでしょうか?答えは、自分のアタマの外に飛び出すこと。思いもよらないヒントを大量提供してくれるAIブレストスパークは、その強力な味方です。内閣官房は、地方公共団体や事業者の皆様が、AIを活用して地方創生課題を解決する取組みを促進しており、最初に名乗りを上げてくれたのが、亀岡市でした。
“亀岡って何?”を突き詰めたかった
亀岡市は京都市の西に隣接し、「京の奥座敷」とも呼ばれる、豊かな自然と歴史文化の伝統を誇るまちです。発想塾導入の理由を、市長公室シティプロモーション担当室長 鳥山恒夫さんにうかがいました。「着任以来、亀岡市とはこれだ!という売りが、職員の間で共通言語化されていないことを課題に感じていました。基点が定まっていないので、施策もブレがちなんですね。発想塾は、それを考える絶好のチャンスだと思いました。」
若手から中堅の14人が、脳力の限界に挑戦
講師は、株式会社博報堂 エグゼクティブクリエイティブディレクター 八幡功一氏と、株式会社そもそも ファシリテーター 赤松範麿氏。講師とはオンラインでつなぎ、塾長の仲山徳音副市長(当時)の「予想外のアイデアがどれだけ出るか、楽しみです。」の発破のもと、「2日間(計5時間)+ 宿題」の発想塾が始まりました。
1日目
・創造性と効率性を、どう両立するか
・正解のない創造領域で、何を手掛かりにするか
・新しい答えにたどり着く発想プロセスとは
・AIブレストスパークを使った強制発想体験
発想についての講義や、AIマシンの使い方を学んだ後、「亀岡市が、もっと注目されたり、活性化するアイデアを考える」という宿題が出されました。締め切りまで、土日を除くとたった1日半という時間の中で、各自がAIをフル活用しながら、発想の拡散を徹底し、1~2案に仕上げることが求められました。
2日目
・宿題の個人発表
・他人のアイデアの中に可能性を見つけて指摘しあう
・誉められた点から、さらに伸ばす、ジャンプする
・チームによる“珠玉の新案”づくり
「発表した本人でさえ、気がついていないような可能性」が多数発見され、できるだけたくさんの着眼点を持つことの重要性が体感された後、「亀岡ならでは」と言える“珠玉の新案”へのトライが要請されました。結果、4つのチームから、以下のような素晴らしいアイデアが飛び出しました。
Aチーム
「#ちるかめ」
癒し、落ち着くといった意味の流行語“ちる”。その概念が亀岡のイメージにぴったりなことを活かした言葉“#ちるかめ”を、市のプロモーションのコンセプトにすることを提案。
Bチーム
「今夜はまだ帰らない」
「夜どれ」という言葉から、ナイトタイムエコノミーに注目。朝採れ野菜ならぬ「夜どれ京野菜」、「星空教室@サンガスタジアム by KYOCERA 」「夜の虫取り」など、亀岡の夜の楽しみ方を提案。
Cチーム
「諸行無常×エネルギーチャージ」
雲海や保津川などの自然が、諸行無常を感じさせる亀岡。温泉や神社を巡ったり、ラフティング体験など、アフターコロナは亀岡でエネルギーチャージを!という提案(まずはVRで発信)。
Dチーム
「ブランコ乗ってエコ考えてみる?」
市内の景観地にブランコを設置。自ずと湧き上がる「気持ちいいなぁ。この美しい景色を大事にしたいな。」という気持ちから、エコ意識の芽生えを期待するアイデア。
発想塾の熱気のままに、市長へプレゼン
発想塾の最後に、参加者へサプライズがありました。チームごとに案をさらにブラッシュアップして、「5日後に桂川孝裕市長へプレゼンせよ」とのこと。仲山塾長のはからいでした。プレゼンの結果、なんと3つもの案が採用され、令和2年秋~の実施に向けて、着々と準備が進められているそうです。
●ブランコ乗ってエコ考えてみる?
市内数カ所にブランコを設置する。第一弾は、雲海の見える“霧のテラス”に決定。その他の設置先は、市内の中高生への公募で選定予定。生徒たち自身にもふるさとの魅力を再発見してもらう狙い。
●亀岡市VRプロジェクト【かめR】
スマホで見られる360°動画制作が決定。YouTubeで公開するほか、ふるさと納税サイトへの埋め込みで誘客・収入増図る。保津川下りやパラグライダー等のコンテンツを予定。
●#ちるかめ
“ちる”のイメージを表現しやすい秋に、市のHPやSNS画像、広告などを、“#ちるかめ”コンセプトで統一。ブランコも、その象徴として打ち出す予定。
自分の思考の外に出たら、発想の跳躍が待っていた
発想塾を終えて、参加者からは、こんな感想が寄せられました。
・自分の想像領域の狭さを痛感。
・「ゴールありきの予定調和」発想がダメだという強い実感。
・AIのヒントを浴びて、脳がよくわからない状態になった。
(思考が拡がった感じ)
・視野が広がって、新しい自分を知るような、なんとも言えない心地のよい気分。
・発想が跳躍する瞬間を実体験できた。
参加者の一人・乾芽衣さん(秘書広報課 主査) 「最初はただ楽しかったのが、だんだん深みにはまって、宿題をする時はカオスの中でした(笑)。 AIは突拍子もないワードも出しますが、関西人なので、『このネタ、どう料理しようか』と、面白がりつつ取り組めました。」
鳥山さん 「みんなの目がキラキラしていました。一緒に脳みそに汗をかいたことで、一体感ができたと感じます。発想体験をしたメンバーが、各部署に散らばって、今後も革新的なアイデアを出してくれることを期待しています。」
想像外の答えを探しに行く訓練を
地方創生では、先進事例や成功事例を調べて、その仕組みを応用するという発想になりがちですが、それでは“新しい答え“を生み出すには限界があります。亀岡市の皆さんをはじけさせたこの発想訓練、あなたの自治体でも、体験してみませんか?