地方創生「連携・交流ひろば」 | 地方創生のノウハウ共有掲示板と実践事例紹介全国で活躍する地方創生専門人材-学びと実践の事例-専門人材17:プロジェクトを通じて伝える力の重要さを実感/私たちの世代に秋田の未来がかかっている!

住民組織の強化から始まる歴史的まちづくり

住民組織の強化から始まる歴史的まちづくり

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氏名

疋田 花梨さん(ひきた・かりん)
所属 秋田県立大学システム科学技術学部3年
プロフィール 秋田県秋田市出身。秋田県立秋田北高等学校を経て、現在は秋田県立大学システム科学技術学部在学中。1年時から秋田県に関する授業を受けており、秋田県で今起こっていることを知り、意見が言えるようになりたいという気持ちから嶋崎教授の「あきた地域学アドバンスト」を履修。授業の中で実施された「学生が主役の地方創生プロジェクト」を経て、将来自分が秋田でするべきことが具体的になったと手ごたえを感じている。大学卒業後はまず県外で就職し、知識や経験を持ち帰って秋田に貢献したいという思いを強くする。

プロジェクトを通じて伝える力の重要さを実感/私たちの世代に秋田の未来がかかっている!

NEW! 2024.03.27公開 
 

地方創生カレッジと秋田県立大学が連携した「学生が主役の地方創生プロジェクトin由利本荘」に参加し、「将来、秋田で地元をPRする仕事をしたい」という思いを強くした秋田県立大学3年の疋田花梨さん。今回のプロジェクトを通じて「地方創生は課題解決だけでなく、よいところを伸ばすことも大事だ」という気づきがあったようです。

 

eラーニング講座は知りたい情報がたっぷり! 貴重なインプットの場

──疋田さんは生粋の秋田っ子で、秋田県立大学への進学もまっすぐに決められたのですね。地元への思いはどう育まれていったのでしょう。

疋田:秋田で学生生活を送る中で、秋田県に「寂しい」という印象をずっと持ってきました。高校のときには、秋田県のいいところや秋田らしさを探すような授業を受け、「こんなによいところがたくさんあるのに、それをPRできていないのはなぜ?」という視点が生まれました。だんだんと、「なぜこんなに街にお店が少ないの?」「駅周辺の広告の少なさってどうして?」という疑問への答えがほしくて、秋田のことをきちんと知りたくなりました。大学で地方創生に関する授業なども受けるようになって、地元の人なのにまだまだ知らないことがたくさんあると痛感しましたし、私が勉強しているマーケティングやPR法という視点で秋田県を見てみると、寂しい理由も分かるようになってきました。秋田で今何が起こっているのか、秋田のことをもっと知って、秋田県に対して意見を言えるようになりたいと思い、嶋崎先生の「あきた地域学アドバンスト」を選択しました。


──寂しい街のままではいけない!という気持が、地方創生の学習意欲をかきたてたのですね。「あきた地域学アドバンスト」に今回のプロジェクトが組み込まれていて、まずはeラーニング講座で地方創生に関する事前学習を行いました。eラーニング講座はいかがでしたか?

疋田:地方創生のeラーニング講座っていったい何をやるのかと思いましたが、実際視聴してみると私が知りたいことがぎっしりつまっていて、まだまだ知らないことがたくさんあることを実感しました。eラーニング講座は、一つのことを、時間をかけて学べるのがいいですね。例えば秋田県の話題はニュースでも取り上げられることがありますが、ほんのわずかな時間です。大学の授業では、秋田県のデータを取り出して数値分析をするというように自分の頭で考える課題が多くて、与えられる情報量が少ないと思っていたんです。このeラーニング講座は、「このグラフのここは、なぜこうなっているんだろう?」という疑問を持ったら、時間をかけて突き詰めていくことができました。私は、学生である今はインプットの時期だと考えているんですね。とっておきのインプットの場を見つけた思いです。


──プロジェクトの次のステップである、ワークショップにつながった学びはありましたか?

疋田:秋田県の人口減少についてはよくいわれていますが、「地域人口推計」のなかで秋田県が全国的に見てどの位置にいるのか、いったいどれくらい減少していてどう推移しているのか、他県と比べてどれくらいのスピードで減っているのかということをはじめて学びました。8割以上の市町村に消滅の可能性があるといわれているというのは地元民としては大ショックでしたが、具体的な予想値が書かれているのを見て「これは他人事ではない」と、それまでうすうす感じていたことが明らかになって、課題が自分事になりました。


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eラーニング講座で学んだことを活かしてワークショップで自身の意見を発信した疋田さん

問題を解決するだけでなく、いいところを伸ばすのも地方創生

──次なるステップはワークショップでしたね。他世代との交流はいかがでしたか?

疋田:高校生と大学生と社会人、3つの視点でお話できて気づきがいっぱいありました。秋田県に対する不満やうまくいっていないと感じる部分が世代で大きく違っているというのもその一つです。例えばeラーニング講座で学んだ「人口減少」については、他県と比べて秋田県の人口減少の現状はどうなのかということを高校生はまだ知らない様子でした。社会人の方は知っていたけれどそれほど重要視はしていませんでした。一つの事柄だけでも世代によってこんなに認識が違うんだなと、驚いた部分でもありました。 三世代集まったときに、刺さる意見を多く出してくれたのが高校生だったことも予想外でした。「イベントが少ない!」というのも高校生の意見で、高校生は「なぜイベント少ないかがわからないから増やし方がわからない。増やす方法があるのなら自分でも計画したい」と言ってくれたことに、また驚きました。


──地方創生への芽生えの瞬間に立ち会えたのですね。疋田さんの発表会でのプレゼンテーションのテーマは「本荘公園で雪まつり」で、イベント作りがテーマでした。

疋田:高校生の意見が発想のスタートになりました。ワークショップでは、不満は三世代でバラバラだったんですが、「雪が多い」「ご飯が美味しい」など、いいところは重なったんですね。課題を解決するのも地方創生だけど、いいところを伸ばすのも地方創生の一つなんじゃないかなという思いを持って、プレゼンを行いました。


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ワークショップで出た意見をもとにアイデアにまとめあげた(写真は発表内容をグラフィックレコーディングしたもの)


──いいところを伸ばすのも地方創生。素敵な気づきです。

疋田:雪が降っているとバスや電車が遅れたり止まったりするから冬の野外イベントは難しい、と考えるのではなく、雪が多いことや冬の味覚を魅力にしてプレゼンの内容を考えました。実は冬のイベントは秋田県内にないわけではないんです。中高生が参加しづらいのは、場所の遠さや開催時間帯がハードルを上げているのではないかと考えました。由利本荘市には「さくらまつり」があり、たくさんの人でにぎわいます。それと双璧を成す「雪まつり」を作りたい、と本気で考えました。 一人ではここまで考えることはできなかったと思いますので、高校生には感謝しています。アイデアを形にする力を生むほど、高校生の意見は私の心に沁みわたりました。


──世代を超えたやりとりが奏功しましたね。

疋田:はい。大学生は学校などでプレゼンやディスカッションの機会があって、自分の意見を伝えるのは慣れているけれど、違う世代と話す機会はほとんどありません。新たな発見の場になってうれしかったし、とても価値がありました。


秋田の未来を背負った私たち世代がすべきことを考える機会に

──プレゼンテーションは1分間でまとめなければいけなかったのですね。

疋田:1分という短時間でのプレゼンは今までやったことがなくて、正直「そんな無茶な」と思いましたし、とんでもなく難しいことは想像できました。「地方創生」を軸に、まずキーワードを設定することから始めました。これはeラーニング講座で学んだことですが、時間が短いときには特に、どれだけ印象に残るかが大事だと思ったからです。eラーニング講座では、「消滅可能性都市」として秋田が出てきたときに目をうばわれました。「これはまずい」というインパクトを与える言葉を使う、そして数値をもってそれを説得する。これはプレゼンテーションで絶対使える、と思いながら受講していました。 実際やってみると、1分間でいったい何をどう言うつもりなんだろうと、あまり興味のない人でも1分間なら耳を傾けてくれるということに可能性を感じました。そういう意味で、プレゼンする側だけでなく聴く側にも意味のある経験になったと思います。人に何かを伝えようと思ったときに、これからは「1分間で伝えられるか」というのを意識していきたいと思いました。


──プレゼン資料の「雪」「豚汁」「お金がない」…などのキーワードはコンパクトで印象的ですね。そのうえで「本荘公園にどれくらいの雪を用意できるか」「豚汁などの屋台販売はどれくらいご協力いただけるのか」と、不可能を現実に替える提言をされました。イラストを使った見せ方も目を引きます。

疋田:ありがとうございます。秋田県のいいところは「雪」「食べものが美味しい」など漠然としたものが多かったので、文字だけでなくイラストで印象的にしてみました。これはPRに直結することかなと思います。 今、IT業界で企画や運営に携わる職種への就職を目指して就活中なんです。就職後は私がPRする側に立つことになるのですが、今回難しかった「自分が知り得たことを相手に伝えること」って、まさにPRですよね。今回参加した「学生が主役の地方創生プロジェクト」で、PRされる側の意識を持つことができたことはとてもよかったと思っています。


──社会で活かされる学びにもなったのですね。

疋田:社会に出たときに重要視されるのは、インプットしたことをアウトプットする技術だと思っています。今回、eラーニング講座で学んだことをワークショップでみんなに伝えるという、インプットからアウトプットの流れを勉強できました。これは絶対に社会でも使える技術になりそうです。 私たちは、秋田県の市町村の消滅に歯止めをかけられるかどうかの瀬戸際の世代。私は、これから就職する会社で得た知識と経験を持ち帰って、将来はUターンして秋田県をPRする仕事をしたいという人生設計を持っています。今回のプロジェクトは、秋田に戻ったときに具体的に何をすればいいかを考える機会になりました。


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発表会では参加者にむけてアイデアとともに由利本荘への熱い想いを発信した(下).png
発表会では参加者にむけてアイデアとともに地域への熱い想いを発信した


小さなことから行動するのも
eラーニング講座で学ぶのも、価値ある一歩

──これから「学生が主役の地方創生プロジェクト」に参加していく未来の後輩にメッセージをお願いします。

疋田:どんな小さなことでも、住んでいる地域に一つでも思うところがあれば、ぜひ「学生が主役の地方創生プロジェクト」に参加してみてください。主体性がある人、行動力がある人、人と話したりワークショップが好きな人、0から1をつくることが好きな人なら具体性のある意見を持つことができると思いますし、それが地方創生の第一歩になると思います。自分ができる事も意外とあることに気づくはずです!また、いますぐに行動を起こしたり自分の考えを表に出していくのはちょっと…という方はeラーニング講座があることを知ってほしい。一人ひとりが学びたいことを学べる場所がそこにあります。


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疋田 花梨さん
(ひきた・かりん)

秋田県立大学システム科学技術学部3年

[プロフィール]
秋田県秋田市出身。秋田県立秋田北高等学校を経て、現在は秋田県立大学システム科学技術学部在学中。1年時から秋田県に関する授業を受けており、秋田県で今起こっていることを知り、意見が言えるようになりたいという気持ちから嶋崎教授の「あきた地域学アドバンスト」を履修。授業の中で実施された「学生が主役の地方創生プロジェクト」を経て、将来自分が秋田でするべきことが具体的になったと手ごたえを感じている。大学卒業後はまず県外で就職し、知識や経験を持ち帰って秋田に貢献したいという思いを強くする。