ホーム全国で活躍する地方創生専門人材-学びと実践の事例-専門人材13:地方創生カレッジをきっかけに、富山・井波地域のまちおこしのファン・関係人口に
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住民組織の強化から始まる歴史的まちづくり

住民組織の強化から始まる歴史的まちづくり

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氏名

山内 菜都海さん(やまうち・なつみ)
所属・肩書 西日本旅客鉄道 総合企画本部 地域共生部
プロフィール 東京生まれ・東京育ち。
2014年に東京の大手建設会社の都市開発部門から、神戸へ移住するとともにJR西日本グループのデベロッパー会社に転職。その後、関西や北陸、中国地方などの沿線開発に携わる。現在は2021年6月に立ち上がった地域共生部の初期メンバーとして、西日本各地のローカルビジネスの加速化、自立循環型の地域づくり支援に関わっている。個人の活動としても、神戸・兵庫のまちづくり活動に参画したり、オンライン旅の「第二のふるさとを探す旅」などを主催中。東京大学都市工学科都市デザイン研究室卒。

地方創生カレッジをきっかけに、富山・井波地域のまちおこしのファン・関係人口に

仕事でもプライベートでも地域の魅力発信や課題解決に取り組む山内菜都海さん。地方創生カレッジからつながった山内さんの活動をご紹介します。

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富山県南砺市井波地域のまちづくり団体のメンバーと現地視察をする山内さん(手前右端)

 

大手建設会社を退職、東京から地方へ

──公私共に地方創生に取り組まれていますが、その背景を教えてください。

山内:私は生まれも育ちも東京ですが、新卒入社6年目までは東京の大手建設会社に勤務しながらも、地方のまちづくり案件に関わる中で、両親のいわゆる「田舎」以外にも、いくつも愛してやまない「ふるさと」的な地方都市が自分の中でできていきました。しかし、東京五輪招致が決まり、東京の開発案件に従事することが増えたり、東日本大震災を経てもなお東京への一極集中を加速化するようなタワーオフィス・マンション開発が続く経済構造に疑問を感じてしまい、「もっと目の前の地域に根ざした活動に関わりたい」「オンもオフもシームレスに自分が愛する地域のための活動をしたい」と、地方への思いが少しずつ膨らみました。入社当時から地域の個性や産業・文化を生かしたまちづくりを大切にしたい、という思いも持っていたので、地方創生をライフワークにすることを決意し、2014年に神戸移住と共にJR西日本不動産開発に転職しました。

神戸に移住してからは、イチ市民としてもマチナカでの活動に携わり続けています。仕事に結びつけて、となると、必ずしも自由で柔軟な活動ができないからです。例えば、神戸でプレイスメイキングに取り組む一般社団法人の一員として、神戸市中心部の公園でのパークカフェ&ライブラリーや、JR三ノ宮駅前の駅ビル開発予定地での市民参加型の暫定活用プロジェクトなどに携わっています。市民主導で始まった後に行政からも評価され、官民共同プロジェクトに至ったものもあります。

もう一つの転機は、新型コロナウイルス感染症の波でした。もう長らく外出自粛が続き、都市部と地方部の往来が制限される中で、地方でも刺激やモチベーションを維持できる場を増やしていかないといけない、という危機感とともに、地方創生の重要性を実感するようになりました。これをきっかけに、自分の住む神戸に限らず、JR西日本沿線全体で、オンでもオフでも、様々な地域で活動する方々の輝きを伝え、1人でも関わり合いをもつ人を生みたいと考えるようになりました。


── 地方創生カレッジを受講しようと思ったきっかけは何でしょうか。

山内:コロナ禍になり、ライフスタイルが大きく変わったことで、オンラインセミナーが急速に増えましたよね。私も毎晩のように料理しながらどこかの地域のオンラインセミナーを聞いています。このようにコロナ禍前に比べて、地域に関する情報のリソースが増えたことはとても良いことで、JRの仕事としても、求められる新たな価値を見出して提供をしていく必要性があると感じて、昨年、在宅勤務になってすぐに、鉄道会社等10社の知人に声をかけ、アフターコロナの移動やライフスタイルの変化について一緒に考える「ゆるいぽっぽやの会」という有志勉強会を立ち上げました。様々な地域のまちづくりの事例を発信している地方創生カレッジも、様々な知人とアフターコロナ談義をする中で紹介を受け、すぐに受講を決めました。


富山・井波地域のまちづくりに共感

──受講してみて手応えはいかがでしたか。

山内:私が受講したのは、富山県南砺市の井波地域と岡山県、福島県の会津地域で地域活性化に取り組む地域の人たちの活動を通じて、人を起点にした地域事業の作り方や仲間作り、組織運営などを学ぶ内容でした。中でも大変参考になったのが、木彫り職人の町として知られる井波地域で地域づくりに取り組んでいる一般社団法人ジソウラボの事例です。地元で林業や彫刻、建築などを営むメンバーや、IT関連の仕事に携わっている方など、異業種の7人が立ち上げた組織で、発足の経緯や事業の成り立ち、井波の活性化に向けた熱い思いを聞かせていただきました。何よりメンバーたち自身がとても魅力的で、井波地域の歴史や文化、地場産業、資源を深く愛していることが伝わってきましたし、それらをうまく活用しながら事業に取り組まれていました。講座を通じて、そこで活躍する人の魅力、まちの魅力がよく伝わってきて、とても臨場感がありました。有名無実化して活動が続いていない団体もたくさんありますが、ジソウラボは生き生きしており、応援したい、一緒に関わってみたい、と感じるような内容でした。外部人材の呼び込み、受け入れ土壌の作り方など、ロールモデルとしてとても良い事例を学ぶことができました。

また、オンラインセミナーでは発信する側の本音に迫ったり、受講する側からのフィードバックを受けたりする機会がないことが多いですが、地方創生カレッジのプログラムでは、講座後にそのままディープな話をできるようにオンライン飲み会やフェイスブックのコミュニケーションボードを用意していただき、双方向のコミュニケーションが重視されていました。これは、地方創生のコミュニティづくりという点で、様々な地域に対する興味を抱くきっかけになるので非常に重要で、一つ、受け身になりがちなオンラインセミナーの限界を突破できていると感じました。

──講座の内容は、ご自身の活動に役立っていますか。

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ジソウラボのメンバーたちと

山内:講座をきっかけに、ジソウラボのメンバーとの親交が深まり、その3ヶ月後に実際に現地を訪問しました。個人の活動として、コロナ禍で一気にローカルへの関心が高まり、またオンラインが浸透したことをきっかけに、私自身が惹かれた12の地域で活躍する人々の想いに触れていただく「第二のふるさとを探す旅」というオンライン旅・交流会を始めようと思い、その第1回目の特集地域として、井波のジソウラボを取材し、後日オンライン旅として編集し配信しました。

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ジソウラボのメンバーたちと
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井波地域の魅力を伝えるオンライン旅を記録した絵地図

山内:井波地域を訪れた際には、ジソウラボのメンバーに現場で解説してもらいながらロケを行い、地域について学びました。それをもとに後日動画や写真を使って、ジソウラボのメンバーにも登壇いただいて、「第二のふるさとを探す旅」のオンライン旅として、私自身が感動したポイントやおすすめスポット、人やまちの魅力を約30人の聴講者に発信しました。地方創生カレッジの講座をきっかけに、井波の人や地域の魅力を知って関わるようになり、自身の活動につながりました。

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井波地域の魅力を伝えるオンライン旅を記録した絵地図

初期の組織づくり、講座での学びを参考に

山内:また、本業の地域共生やまちづくりにもジソウラボからの学びが役立っています。例えば何か事業を始める際、初期メンバーは7人くらいがちょうど良いということ。駆け出しの段階で10〜20人もいると、アクションプランを立てる際に時間がかかり、全員の賛同を得るのも難しくなります。逆に3人くらいになってしまうと、一人が多忙になってしまうと、すぐに機能しなくなり、活動が停止してしまう。ジソウラボが「7人がちょうど良い」とおっしゃっていたのは、本当になるほどと思いました。スタートの組織の作り方として参考にしています。


──地方創生カレッジはコロナ禍を受け、オンラインに切り替えました

山内:オンラインには強みと弱みがあると感じています。まず良い点は裾野が広がったことです。対面式だと隣県の人くらいしか参加できないのですが、実際はその地域の取り組みやテーマに共感する人が北海道や沖縄にいるかもしれません。オンラインが普及したことで、そういった人を拾えるチャンスが広がったと思っています。また、私が主催するオンラインセミナーには関西からの参加者が多く、東京にも呼びかけるのですが、なかなか関心を持ってもらうことが難しいです。しかし、地方創生カレッジは幅広いネットワークがあるので、全国に等しく訴求できるという点でも、とても重要なプログラムだと感じました。 他方、オンラインセミナーを受けると、現地に行っていないのに、行った気になる、わかったつもりになる、という点が落とし穴かもしれません。井波を訪れた際にも、講座ではすごく理解できた!と感じていたのですが、現地を訪れた時、「15%くらいしかわかっていなかった」「現場で話を聞くことによって、こんなにも理解が深まるのか」と痛感しました。オンラインの活用によって、現場の大切さを最認識できたことはとてもよかったと思いますし、オンラインセミナーが、遠く離れた地域のファンになるチャンスを広げていることも間違いないと感じています。コロナ禍が落ち着いた後には、まずオンラインで予習して、2回目は現地視察、3回以降またオンラインに戻って学ぶ、というサンドイッチ型のスタイルが理想的だと実感しています。


地域が抱える課題解決の架け橋に

──今後、地方創生にどのように貢献していきたいですか。

山内:地方に関心はあるけど、まだ行動に移せていない人にも活動の裾野を広げていきたいと考えています。これまでは忙しくてローカルの仕事に関われないと思っていた人たちが少しずつ流入しつつあります。しかしまだ、都市側に軸をおいてビジネスをする人と、地域にどっぷり足を置いてビジネスをする層のギャップが大きいと感じます。JRの看板は一般市民への訴求力はとても大きいと思うので、今後はそれを活かして地域で頑張っている人、地域課題の解決策を、JR西日本が架け橋となって拡散していきたいと思っています。具体的には、「第二のふるさとを探す旅」のような個人の活動を会社の事業にもつなげ、そしてそれが、地方と都市のメリットを生かして往復生活をするような層を増やしていくことにつながれば、大変嬉しいです。入り口はレモン収穫とか、クラフトビールのポップの収穫とか、趣味やレジャーの延長で地域に入ってもらって、そこから地域にどっぷりハマっていくような、そんな人たちを増やしていきたい。官民共同で取り組んでいければと考えています。

また、学校側は、オンライン授業が増え居場所の制約が減った分、地方へ滞在する地域活動のプログラムを盛り込んでもらって、在学中に生徒たちに地域に触れる機会をつくってほしいと考えています。卒業後に、大都市の大企業で揉まれて仕事をすることも大事ですが、数年働いてから地方に移る際、どんな地域でどんな働き方をしたいか、というイメージを持つことが重要です。そのために、社会人になる前に、地方に触れる機会を持てるかがとても大事ではないかと思います。

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山内 菜都海さん
(やまうち・なつみ)

西日本旅客鉄道 総合企画本部 地域共生部

[プロフィール]
東京生まれ・東京育ち。
2014年に東京の大手建設会社の都市開発部門から、神戸へ移住するとともにJR西日本グループのデベロッパー会社に転職。その後、関西や北陸、中国地方などの沿線開発に携わる。現在は2021年6月に立ち上がった地域共生部の初期メンバーとして、西日本各地のローカルビジネスの加速化、自立循環型の地域づくり支援に関わっている。個人の活動としても、神戸・兵庫のまちづくり活動に参画したり、オンライン旅の「第二のふるさとを探す旅」などを主催中。東京大学都市工学科都市デザイン研究室卒。

主な受講分野