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住民組織の強化から始まる歴史的まちづくり

住民組織の強化から始まる歴史的まちづくり

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氏名

石田 貢三さん(いしだ・こうぞう)
所属・肩書 ますだ地域づくり協議会 副会長
プロフィール 1954年島根県益田市生まれ。
益田の建設資材企業在職中より地元自治会の自治会長、益田市立益田児童館館長を務める。
退職後は、パソコンよろずサービス業を営むとともに、2012年から2015年まで益田市嘱託の集落支援員「地域力アップ応援隊」。2019年より、地域運営組織「ますだ地域づくり協議会」の副会長。2014年より、地域サポート人ネットワーク協議会サポート人アドバイザーとして地域おこし協力隊、集落支援員初任者研修等でアドバイザー。


住民組織の強化から始まる歴史的まちづくり

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益田市で毎年開催されている「益田七尾まつり」

 

歴史を活かすまちづくりが活動の原点

──最初に益田市の魅力についてお聞かせください。

石田:島根県益田市は萩や津和野に隣接し、中世の面影を残す歴史の街です。画聖・雪舟が亡くなった地としても知られていて、雪舟が造った医光寺と萬福寺の庭園は、国の史跡名勝にも指定されています。益田地区南東の七尾城は中世の山城跡です。こちらも三宅御土居(館跡)とともに益田氏城館跡として、2004年に国指定史跡に認定されました。
この歴史を活かしたまちづくりが、私の原点です。会社に勤めていた頃から、七尾城周囲の散策路を整備したり、歴史マップを作ったりといった活動は新聞にも取り上げられました。
こうした活動を続けていたおかげか、2019年9月に設立された地域自治組織「ますだ地域づくり協議会」では、副会長を務めさせてもらっています。

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    医光寺の庭園
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    萬福寺の庭園

──「地域づくり協議会」ではどのような活動が進められていますか?

石田:この協議会は、「ふれあい部会」「安心安全部会」「歴史部会」の3部会で構成されています。設立されて日が浅いので、まとまった成果が出るのはこれからですが、「ふれあい部会」では、益田地区で活動している各団体等の活動アンケート調査を行い、各団体が連携・協働していける方法を検討しています。「安心安全部会」では水害などの災害時の避難情報を収集・整理した「避難所マップ」作りの素案を練り始めています。「歴史部会」は、“ひと・まち・歴史の鼓動を感じるまち”を目指して企画した観光マップの制作作業中で、2020年の上半期には形になる予定です。
このような地元の益田市での活動のほか、JIAM(全国市町村研修財団)やJAMP(市町村アカデミー)等で開催された地域おこし協力隊などの研修会に、アドバイザー役として参加しています。課題を設けてグループワークを行う際にお手伝いやアドバイスをするのですが、参加者は若い方が多いので、私は皆さんのお父さんみたいな感じで参加しています。

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「ますだ地域づくり協議会」体制図
出典:『広報ますだ 令和元年12月号』

 

行動を形にするためにはまず「組織づくり」

──活動を進めるにあたって重要なポイントは何でしょうか?

石田:まちづくり活動を行うために、私はまず組織づくりが重要だと考えています。しっかりとした事務局がエンジンとなって、組織を駆動するエネルギーを持っていないと動き出せません。そしてNPO法人化する場合、決算の時にはNPO会計の知識も必要になります。
幅広い年代の住民の意見をくみあげる仕組みづくりも重要です。地域運営のための住民組織を立ち上げると、どうしてもメンバーが高齢者に偏り、若い人たちはなかなか意見を言ってくれません。インターネット会議などを活用して家事の合間に参加してもらったり、特定の分野に絞って意見を募集したりといった工夫をすることで、幅広い意見を集める機会を作っていきたいと考えています。

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JIAMの研修の様子

──しっかりとした組織づくりには、さまざまなノウハウが必要になるのではないでしょうか。

石田:私自身は、組織に若い人を呼び込むことで第一線ではなく一線半くらいのところに退き、マネジャー的な立場から人を動かしていくことができたらと考えています。そのためには、事務局を手厚くするとともに、マネジメントのやり方をもっと勉強していかなければなりません。
そんな時に教えていただいたのが地方創生カレッジです。当時私は、地域サポート人ネットワーク協議会に地域サポート人アドバイザーとして登録し、年数回、研修会などでお手伝いをしていました。ある研修会で、総務省の担当者の方が様々な講座の取り組みを説明された際に、自分に適した勉強をする場として紹介していただきました。ウェブ上の講座であれば好きな時に参加することができるので、まずは自分でやってみようと。事務局の組織化、地域との取り組み方など、自分が重要と考え、なおかつやってみたいと思っていた分野の講座を選択しました。
そうした観点から言えば、「人と組織のマネジメント」、「地域経営を推進する自治体組織を創る」、「地域プロデューサーの地域への関わり」がお勧めの講座です。これらの講座を受講することによって、マネジメントのやり方のポイントを理解することができたと思います。

 

地方創生カレッジから広がる学習

──組織づくりやマネジメント以外では、どのような講座を受講されましたか?

石田:地方創生カレッジでは、組織づくりやマネジメント関連講座のほか、観光によるまちおこしやNPO法人設立に関する講座も受講しました。
私は企業に勤めていた時期に販売管理や会計システムを開発していたこともあり、基本的な簿記の知識はすでに持っていたのですが、NPOの会計は決算の仕方が営利企業とは異なってきます。地方創生カレッジで学んだことで、2019年度の島根県NPO法人事務局セミナー&事務力検定研修で初級を取得できたのですが、こうした知識は、近い将来「ますだ地域づくり協議会」をNPO法人化する際に役立つと考えています。

──講座受講を進めることで視野も広がりますね。

石田:地方創生カレッジの学習は、内部で完結するだけではなく、興味を広げるきっかけにもなります。勉強会で学習をしているとき、地方創生カレッジの講座検索からRESAS(地域経済分析システム)の話へと広がったのですが、面白そうだったので地方創生カレッジの講座だけではなく、外部の学習コンテンツも検索して勉強の幅を広げていきました。
まちづくりに関する基礎知識は、他の組織との連携を行う際にも欠かせません。今後、益田市では公民館単位の20カ所で地域自治組織が作られる予定ですが、それぞれの地域ごとに特色があります。こうした組織間で地域の特性を活かしながら意見交換を行う際にも、各地域の担当者が地方創生カレッジの講座を見ておくことでスムーズに話が進むのではないかと思います。

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    石田さんらがかつて作成した探訪マップ
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    石田さんらがかつて作成した探訪マップ

 

今後は行政や他の組織との連携やNPO法人化を目指す

ますだ地域づくり協議会設立総会
「ますだ地域づくり協議会」設立総会の様子

──「地域づくり協議会」の今後の展望についてお聞かせください。

石田:前にも言いましたが、何よりもしっかりとした事務局が必要です。そして事務局を運営しようとする場合、事務の人材に無給ボランティアを使うというのは、どうしても無理が生じます。したがって安定した財源が必要になるのですが、民間の立場でいうと最初のうちは補助金や助成金に頼るしかありません。予算を握っているのは行政なので、行政と話をしながら予算を取りにいくのですが、それにはこちらも事業計画をしっかり決めなければなりません。私がNPO会計事務の初級を取得したのは、予算をとってしっかり事務局を回していくために、「ますだ地域づくり協議会」(地域運営組織)をNPO法人化することを見据えたものです。

ますだ地域づくり協議会設立総会
「ますだ地域づくり協議会」設立総会の様子

──新型コロナで外出や会議の自粛が続いていますが、影響はいかがでしょうか?

石田:行政との連携に加え、地域間の連携や組織内での意見調整も重要です。しかし、こちらはまだまだ実現に至っていないのが現状です。新型コロナの影響もあって会議が開けず、「ますだ地域づくり協議会」の内部で意見をとりまとめたり、各種申請作業を行ったりすることも一苦労です。インターネット会議が活用できればいいのですが、環境が整っていないメンバーも多いため、現在の状況は会議を円滑に行うための環境セットアップ段階となっています。
こうした連携を行うための環境づくりも、どのように進めていくと効果的か、アドバイスをいただきながらやっていきたいと考えています。

石田貢三さんからひと言アドバイス

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地域おこし協力隊や集落支援員、地域運営組織などの関係者の方には、地域や現場を大切にしながら、住民の一人ひとりに寄り添えるような心を養っていただきたいと思います。住民の話を聞き、お互いの気持が寄り添うことで、地域づくりは血の通ったものになります。地方創生カレッジのマネジメント関係講座は、人と人の結びつきを教えてくれる基本講座なので、まずは人と組織のマネジメントや地域ブロデューサーなどの講座を受講し、必要に応じて会計やDMOなどに広げていくと良いと思います。必要なものはそろっていると思います。
特に、「企業会計と非営利会計」はお勧めで、NPO法人ならではの会計の特徴を学ぶことができました。
ただ、講座数が多いので、受講したい講座を見つけるのが大変です。受講者に対しておすすめ講座が出てくるリコメンド機能があれば、さらに使いやすくなるのではないかと思います。

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石田 貢三さん
(いしだ・こうぞう)

ますだ地域づくり協議会 副会長

[プロフィール]
1954年島根県益田市生まれ。
益田の建設資材企業在職中より地元自治会の自治会長、益田市立益田児童館館長を務める。
退職後は、パソコンよろずサービス業を営むとともに、2012年から2015年まで益田市嘱託の集落支援員「地域力アップ応援隊」。2019年より、地域運営組織「ますだ地域づくり協議会」の副会長。2014年より、地域サポート人ネットワーク協議会サポート人アドバイザーとして地域おこし協力隊、集落支援員初任者研修等でアドバイザー。