地方創生「連携・交流ひろば」 | 地方創生のノウハウ共有掲示板と実践事例紹介人材紹介業務の実務に役立つコンテンツ【Vol.27】地域金融機関が「人材紹介業務」を成功させる秘訣とは?「営業店が人材紹介のスキルを上げる方法とは?(その1)」

2022/8/5配信メールマガジンアーカイブ


 

【Vol.27】地域金融機関が「人材紹介業務」を成功させる秘訣とは?「営業店が人材紹介のスキルを上げる方法とは?(その1)」


第26回に続き、地域金融機関における人材紹介業務を成功させる秘訣をお送りいたします。
https://www.chihousousei-hiroba.jp/recruitment/recruitment_NEW_inquiry.html


上記URLにあるQ&Aお問い合わせにいただいた御質問の中に「営業店から取引先に対して人材紹介の話をする際に、最初の案内や人材要件のヒアリングについてもう少し突っ込んで会話できるようになりたい」というお問合せをいただくことが何度かありました。


このお問合せをいただいた自体が本当に重要で価値あることだと思います。
「社長、当行も人材紹介をはじめました、ニーズありませんか?」と率直に伝えるのも重要です。
一方で「社長、当行はこういう目的で人こういう材紹介をやっています」「こういう意義や効果があります」「こういう解決方法もあります」と渉外担当が直接案内していけば、取引先からの関心度や営業店への信頼度が明らかに変わってくる、そう考えるご担当者が出てきていることも、今後の地域金融機関における人材紹介事業の発展において素晴らしく価値のあることだと思います。


貴重なリクエストに応える第1弾として今回は「営業店の担当者として人材紹介の案内のレベルを上げる」という点を中心に扱ってみたいと思います。
営業店の御担当者から取引先の経営者の方に説明する体での内容を記載してみましたが、実際に現場で使う会話としては更に各金融機関での事情に合わせて最適化いただければと思います。
(両手型の人材紹介を始めたばかりの金融機関様(並びに営業店の皆様)も読者に多いことを鑑み、長文となりますが敢えて基本的なことを含め詳細に記載いたします。)

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1.地域金融機関として人材紹介をはじめたことを紹介する
2.地域金融機関が人材紹介に力を入れている理由を説明する
3.地域金融機関としての人材紹介の進め方を説明する
4.人材市場の現状(売り手市場→買い手市場)を伝える
5.最新の採用手法のトレンドを説明・共有した上で人材紹介の有効性を説明する
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1. 地域金融機関として人材紹介をはじめたことを紹介する
規制緩和があり2018年4月から地域金融機関による有料職業紹介も解禁されています。
既に全国で多くの地域金融機関が人材紹介を開始しており、リクルート様やパーソル様をはじめとする民間の人材紹介事業者と全く同様に、厚労省より職業紹介免許を取得しての有料職業紹介としての人材紹介業務を行っています。
当行自身も20XX年X月より本格的に人材紹介・採用のご支援をはじめています。
これまでのビジネスマッチングによるご支援と違い、銀行自身で丁寧に会社の課題や人材要件をヒアリングして求人作成しています。
また幹部人材の求人については当行自身で民間の求職者データベースへ人材サーチを行って求職者へスカウトをかけ、スカウト返信をいただいた求職者の方には当行から事前面談を行った上で応募者として求人企業様へご紹介をさせていただいています。
担当者人材のご紹介についても勿論受け付けていますが、主には当行が提携している民間の人材紹介会社様にお繋ぎしてご支援を行っていただいています。
実績としましても、当行取引先を中心に正社員でXX件、副業兼業でXX件の成約を出しています。



2. 地域金融機関が人材紹介に力を入れている理由を説明する
地方創生は地域企業が成長・再生していくことが一番必要かと思います。
これを支えられるのは、経営者の皆様と日頃から経営相談の話もさせていただいている地域金融機関でなくてはならないと考えています。
当行としましても従来金融関連でのご支援の立場であったところから、今後はヒト・モノ・カネ及び情報と三味一体、四味一体でトータライズに本業のご支援していく立場へ進化することが必須と考えています。


中でも、地域企業にとってヒトのご支援が一重要であるのは言うまでもなく、当行としては20XX年度より人材紹介業務の体制も本格的に整えてご支援を強化している次第です。
国のほうでも金融機関が地域企業様への人材支援を強化できるようにと「先導的人材マッチング事業」という助成制度も打ち出し、全国で地域金融機関によるご支援が加速しています。
実際、これに呼応する形で多くの地域企業が外部人材の登用(雇用・活用)に着手しており経営課題の解決を達成した成功事例が沢山出てきています。


またこの状況を受けて、求職者から構成される転職市場でも地域企業の将来に魅力を感じて幹部候補として入社を希望する人材も増加し全国で人材の流動性が向上している状況もあります。
また正社員での入社に限らず副業兼業人材も地域中小企業への支援の価値や自身のキャリアアップを求めて活躍の場を地域企業へシフトしつつあります。
このような人材市場の動向も含めて、日頃から懇意にお付き合いいただいている地域金融機関こそがこの支援も主体となって取り組むべきと考えています。



3. 地域金融機関としての人材紹介の進め方を説明する
当行は取引先様の事業成長・事業継続に向けた経営課題の解決を目指すために人材紹介を活用すべきと考え、特に経営にインパクトのある幹部人材や幹部候補となる方を中心にご紹介しています。
事業性評価を行ってきた中で各課題へヒトという切り口で解決策を提示するのは非常に現実的で効果的な選択肢と考えています。


幹部人材ニーズにつきましては、現在社内にない知見・能力またはネットワークをもって企業や事業に新しい価値をもたらすようなハイクラスの人材が必要です。
当行は、そういった人材が企業に定着し活躍し成長エンジンとなってもらうよう伴走支援を行います。
具体的には、人材要件の元となる経営課題の整理から人材要件の最適化はもとより実際の採用工程や入社後の定着化に向けたフォローアップに至るまで、一貫し伴走支援が必要と考えています。
当行の人材紹介は伴走型人材支援の形で進めさせていただくことが基本となります。


もちろん担当者人材のニーズも大変多いため、こちらについても○○社はじめ民間の人材紹介会社とも密接に連携してすべての人材ニーズに対応してまいります。



4. 人材市場の現状(売り手市場→買い手市場)を伝える
ご存じのとおり、人材市場が買い手市場と売り手市場が逆転して久しい状況です。
求人企業が採用する社員を選べる時代は終わり、求人企業が求職者から選ばれる時代になっています。
この外部環境の劇的な変化に対応した人材確保を目指すには採用活動も状況に応じた戦略的な対応が必要です。



5. 最新の採用手法のトレンドを説明・共有した上で人材紹介の有効性を説明する
ハローワークだけに頼った人材採用では有能な人材の確保はもとより応募自体がなかなか得られないという時代入って長年がたちます。
この中で年間数十万円をかけてネット上の求人媒体で募集をされる地域企業様が相当増えていますが、近年は応募ゼロという求人も後をたちません。


こうした従来の手法で採用がうまくいかない理由は大きくは2つございます。
①公開している求人について企業が求めたい求職者(候補者)の目にとまることはない
②求人内容が求職者本位の魅力的な内容ではなく会社本位であり、興味・関心を引かない、
という2点です。


こうした課題の解決に向けて近年は、CMで出てきているIndeedやengageという求人検索エンジン(クリック課金)が台頭しています。
Indeedは月間で2000万人以上の求職者がアクセスするサイトということで利用する求人企業が急速に増えており従来の求人媒体と同様に埋もれてしまうことを避け、上位に求人が来るような支援を受けたり企業特設の採用サイトの構築支援を受けたりするという有料での支援を受ける企業が急増しています。


求職者から選ばれる企業として企業・事業・仕事の魅力を文章にしてアピールするとともに、実際の応募喚起に向けて丁寧に伴走してもらう、採用がうまくいかなければ提案ももらう(人材市場の動向の情報提供、求人内容の緩和、別の解決策の提示他)といった支援を受ける、ということも可能です。


こうした流れでも地域中小企業が採用活動になお苦労が続く中で、エージェント型の人材紹介の利用が大変増えてきています。
情報リテラシーの高い求職者や転職手法に明るい求職者は、リクルートやパーソルなどのエージェント型の求職者データベースへ登録をし、人材紹介エージェントから優良な求人の案内や特別スカウトも見極めながら転職されていく傾向にあることに多くの地域中小企業が気づき始めています。


地域金融機関がエージェント型の人材紹介業務に着手した理由もこのような背景があるためです。
またエージェント型の人材紹介業務は成功報酬型であり、ネット上の求人媒体や求人検索エンジンと違って、成約するまでは費用がかからないことも重要です。
人材不足を現実的補う手段として、地域金融機関による人材紹介を採用チャネルの一つとして加えていただくのが有益と思っています。


いかがでしたでしょうか?
上記会話は、筆者も地域金融機関での人材紹介担当として日頃何度も繰り返し扱っている同じ内容でありまして、それこそ営業店側でも一度キャッチアップしてしまえば踏襲できる内容が多いかと思います。


もちろん各行において両手型・片手型の人材紹介へのバランスはじめ方針もあり、カスタマイズする必要のある内容ではありますが、今後の人材紹介業務の展開においてヒントとなることは多いだろうと考えています。ぜひ参考にして活用いただけますと幸いです。