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2022/7/5配信メールマガジンアーカイブ


 

【Vol.26】地域金融機関が「人材紹介業務」を成功させる秘訣とは?「取引先へ人材紹介の必要性・有効性を訴求するには?」


第25回に続き、地域金融機関における人材紹介業務を成功させる秘訣についてお送りいたします。
https://www.chihousousei-hiroba.jp/recruitment/recruitment_NEW_inquiry.html


上記URLにあるQ&Aお問い合わせにいただいた御質問の中に「そもそもで人材紹介(有料職業紹介)の必要性について、取引先から理解を得られない」というお問い合わせを何度かいただいたことがあります。


この悩みへの解決方法としては、大凡2つのポイントを押さえる必要があります。
一つ目のポイントは、人材紹介含めた現代の採用手法のトレンドについて一通り把握しておくということです。
2つ目のポイントは、求人企業に対して採用手法のトレンドにも触れながら有料職業紹介による人材紹介の有効性を説明できます。
今回は、前々回の第24回でお伝えした「現代の採用手法のトレンド」の続編と「有料職業紹介(エージェント型)の有効性」についてお伝えしたいと思います。
(ボリュームが多くなっていますが、今後営業店はじめ行内関係者に共有できるよう、敢えて基本的なことを含め詳細に記載させていただきます。)


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1.現代の採用手法のトレンドを把握する(その2)
2.「有料職業紹介による人材紹介の有効性を説明する
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【1. 現代の採用手法のトレンドを把握する(その2)】
人材不足の時代において、採用手法は本当に多様化しています。
昔ながらの無料の人材紹介であるハローワークも一時代を築いた各種の求人サイトも、時代の流れとともにその位置づけや有効性も変化してきています。
今回も、地域の中小企業も現在利用している(または利用が始まっている)サービスを中心にその現状を確認してみたいと思います。
第24回で触れていなかった以下の採用手法について説明していきたいと思います。


・リファラル採用(既存社員からの紹介)
・ダイレクトリクルーティング(転職DB活用)
・ソーシャルリクルーティング(SNS採用)
・オウンドメディアリクルーティング(自社採用サイト作成)
・採用代行(RPO)サービス活用


①リファラル採用(既存社員からの紹介)
リファラル採用とは、既存の社員に友人や知人を紹介してもらい、候補者を募る採用手法のことです。
昭和の時代でいう縁故採用と近いものがありますが、リファラルは社内の制度として公式にアナウンスして広汎に従業員から紹介を募り必要に応じて紹介報酬ルールを設けるところで異なると思います。
メリットとしては、企業理念に共感していたり会社・事業・組織・業務等に愛着を持っていたりする良く知っていたりする社員がリクルーターとなることで、価値観や志向性の合う人材を獲得しやすい点が最大のポイントです。
また最近は知人や友人が入社し一定期間たった後で在職している場合に紹介者の社員に謝礼金を支払うケースも多く従業員に採用費用の還元ができる、という点で従業員とのエンゲージメントにつながる点や、求人媒体や人材紹介と比べてコストがかからない点や、社内に知り合いがいることで被紹介者の定着が見込みやすい点も魅力です。


ただし人事部だけでなく会社全体で取り組まなければ成果をあげられないため、社内での協力体制を整え、リファラル採用を浸透させていく必要があります。
そのため短期間でまとまった母集団を獲得したい企業ではなく、長期的な視点で優秀人材の確保や社員の定着率向上を目指す企業にの採用手法です。



②ダイレクトリクルーティング(転職DB活用)
ダイレクトリクルーティングとは、ビズリーチをはじめとする求人企業向け求職者データベースを企業が直接利用することで自社にマッチした人材を自らが探し、直接アプローチする採用手法です。求職者からの応募を「待つ」のではなく、企業側からアプローチする「攻め」の採用手法として注目されて10年ほどたちます。
最大のメリットとして、採用担当者が求職者のプロフィールを見てスカウトするため、人材紹介よりも自社にマッチした人材を獲得しやすいところです。
また、企業側からアプローチするため認知度に左右されない点や、採用担当者の行動量や工夫次第で成果を大きくあげられる点もメリットといえます。
ターゲットの絞り込みやスカウトメールの作成に工数はかかるものの、「母集団の質をあげたい」「知名度が低く、求人広告等での応募が見込めない」という企業には推奨の採用手法です。


ダイレクトリクルーティングはCMで有名なビズリーチ以外にも多数あります。
中途採用向けにはAMBI、Wantedlyなど、新卒採用向けにもOffer Box、キミスカ、iroots、Wantedlyといったサービス提供者が有名です。


ただし費用としては、高額なサービスになると初期費用10万円、年間利用料60万円、成功報酬料として採用者年収の15%を都度、という形でかかるうえ、人材サーチやスカウトおよび面談・内定等の全ての工程を企業自身で負担するため、その分のコストもカウントすると、年間の採用人数や退職者数の次第によっては高コストな採用手法であるといえます。
また企業側からアプローチする手法のため、求人広告からの応募と比較すると志望度が低く、採用難易度が高い傾向にもあります。



③ソーシャルリクルーティング(SNS採用)
ソーシャルリクルーティングはSNS採用とも言われるとおり、SNSを通して求職者へアプローチする採用手法のことをさします。
TwitterやInstagramおよびfacebookやLINEなどの様々なSNSを通して行われ、求人情報の掲載だけでなく、ブランディングや認知度UPの効果も期待できます。
アカウントの作成・運用にコストはかかりませんが、オプションの広告を利用し、フォロワー以外へも広くリーチできるのが魅力です。
さらに広告を利用する際は、ユーザーの登録情報やSNS上での行動データに基づき、細かいターゲット設定が行えます。
しかし、人材紹介サービスやダイレクトスカウトサービスとは違い、就職・転職目的で登録しているサービスではないため、すぐに効果は得られないのがデメリットとも言えます。
適性としては、母集団形成よりもブランディングや認知度UPをメインの目的とし、長期的な視点で取り組む企業にマッチしているといえます。



④オウンドメディアリクルーティング(自社採用サイト作成)
自社のブランディングやプレゼンス向上のため自社ホームページとは別に立ち上げるのがオウンドメディアです。
最近よくあるのは自社の事業に関連するサービスや情報を提供するサイトや採用強化のため採用関連コンテンツに特化したサイトです。
求人広告と違って求人情報の内容や情報量に制限がなく、自社の魅力を自由に発信でき、求職者の企業理解度や志望度の向上に期待できるのがメリットです。
また、戦略的に自社の魅力やミッションを伝えることで自社のファン化を促し、転職潜在層へもアプローチできます。


しかし、自社メディアの立ち上げやコンテンツ制作には多大なコストがかかるうえに、即効性のある手法ではないのがデメリット。
ただ、Wantedlyのブログ機能を活用すれば、自社でメディアを立ち上げることなく会社の魅力を十分に発信できます。
さらに、求人掲載やスカウトもできるため、短期間での母集団形成も可能です。



⑤採用代行(RPO)サービス活用
採用手法の多様化や業務量の増加により、実際には満足のいく採用活動が行えず、人材確保に至らない企業も多く存在します。
こうした採用活動における業務を委託し、人事担当者が重要な業務に集中できるようにするため採用代行サービスが生まれました。
具体的な支援内容としては、採用計画の作成、採用手法の選択、母集団の形成、応募者管理、面接・採用選考、内定者のフォローまで、採用活動に必要な全て、または一部の活動を依頼することができます(採用代行会社としては企業内の人事の一員として動くことが多く、採用代行の社名が表に出ることはあまりありません)費用としては、月額固定型、従量課金型、成果報酬型あるいはそれらの複合型と様々です。
これらをトータルして相場でみると月額費用として30~100万円ぐらいかけて代行会社に採用代行してもらっている会社が多い状況です。



【2.有料職業紹介による人材紹介の有効性を説明する】
採用成功のためには採用にかけられる予算や納期、募集職種、スキルセットなど、多様化する採用ニーズに対応し、採用単価を抑えながら母集団を形成する必要があります。
そのためには、「採用ニーズに合わせて適切な採用手法を選択していく」という考え方を基本として一つひとつの採用手法の特徴を知り、違いを理解しておくことがポイントです。


求人企業に有料職業紹介による人材紹介の有効性を説明するにあたっても、前々回でご説明したハロワークや求人媒体、Indeedや今回ご説明した最近のトレンドの採用手法も一通り理解しておいた上で、求人企業と会話できる方が信頼・信用のされ方が異なってくるのは言うまでもありません。


人材紹介の有効性を説明するのに、前々回記載した「有料職業紹介による人材紹介」の説明を敢えてそのまま下記の通りで取り上げました。
上記1.にあるような最新の採用手法も理解した上で読んでいただくと更に説得力が増すことが理解いただけると思いますので御一読ください。



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人材紹介の種類も今や多様化しており、登録型/サーチ型/ヘッドハンティング型/再就職支援/OB人材紹介と様々です。
今回は、地域金融機関が取組み始めている登録型とサーチ型(いずれも両手型での活用を想定)に触れてみたいと思います。
まずサーチ型は、ビズリーチやDodaMapsをはじめとする民間の求職者データベースを地域金融機関がエージェントとして利用し、地域の求人企業に人材紹介を行うケースです。
登録型は、地域求人企業に対して、自行の求職者帳簿に登録した人材を紹介するケースです。


いずれも採用したい企業と働きたい転職希望者の仲介を行う成功報酬型の人材紹介であり、企業は採用可能性が高い応募者とのみ面接でき、ミスマッチが起こりにくいのが特徴です。
また採用が決定してから成功報酬を支払う形式のため、採用ができなかったときに費用が発生することはありません。
くわえて、応募者への合否連絡など、採用活動にかかわるさまざまな業務を人材紹介会社が代行するため、採用担当者の工数を抑制できます。


メリットを整理すると以下のとおりとなります。
・成功報酬型のため初期費用がかからない
・採用要件を満たした母集団から選考できる
・求人募集までのリードタイムが比較的短い
・社内の採用担当者の工数を抑えられる
・非公開求人の募集が可能
・エージェントが求人企業に代わって求職者に会社や仕事の魅力を訴求し応募意欲喚起


一方でデメリットには以下のとおりとなります。
・採用人数分の紹介手数料が発生する
・地域や採用要件によっては希望する人材がいない場合もある


こうしてメリット・デメリットを改めて見渡してみると、求人企業において現在如何様な採用手法をとっている場合でも、有料職業紹介における人材紹介は採用チャネルとして確保しておくというのは求人企業にとって非常に効率的・効果的といえると思います。
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いかがでしたでしょうか?
地域の求人企業においても採用手法のキャッチアップのレベルはまちまちであるため、今回お伝えさせていただいたような内容をある程度でよいので把握しておき、求人企業と対話すること自体が採用支援になると考えています。
関心をお持ちいただいた方はGoogle検索で「中途 採用手法 比較」と検索していただき、いくつかの総合比較サイトをご覧いただきながらさらに知見を深めていただければと思います。