2022/5/17配信メールマガジンアーカイブ
【Vol.24】地域金融機関が「人材紹介業務」を成功させる秘訣とは?「取引先へ人材紹介の必要性・有効性を訴求するには?」
第23回に続き、地域金融機関における人材紹介業務成功の秘訣についてお送りいたします。
https://www.chihousousei-hiroba.jp/recruitment/recruitment_NEW_inquiry.html
上記URLのQ&Aお問い合わせより「そもそも人材紹介(有料職業紹介)の必要性について、取引先から理解を得られない」という御質問を何度かいただいたことがあります。
この悩みへの解決方法としては、大凡2つのポイントを押さえる必要があります。
1つ目は、人材紹介含めた採用手法のトレンドを一通り把握しておくということです。
2つ目のポイントは、求人企業に対して採用手法のトレンドにも触れながら「有料職業紹介(登録型)活用の必要性、有効性」を説明できるということです。
今回はこの2つのポイントのうち、「現代の採用手法のトレンド」について考えてみたいと思います。(ボリュームが多くなっていますが、今後営業店はじめ行内関係者に共有する際にも扱いやすいよう、敢えて基本的なことを含め詳細に記載させていただきます)
なお2つ目のポイント「有料職業紹介(登録型)の活用が何故必要なのか、有効なのか」の訴求については後編とする第25回にてお送りさせていただきます。
----------------------------------------------------
1.現代の採用手法のトレンドを把握する(1)
----------------------------------------------------
【1. 現代の採用手法のトレンドを把握する(1)】
人材不足の時代において、採用手法は本当に多様化しています。
昔ながらの無料の人材紹介であるハローワークもネット上で一時代を築いた各種の求人サイトも時代の流れとともにその位置づけや有効性も変化してきています。
今回は、地域の中小企業も現在利用するサービスを中心に確認してみたいと思います。
①人材紹介(無料)-ハローワーク
ハローワークはご存じのとおり都道府県の労働局が管理・運営する公共職業安定所です。
事業主なら誰でも無料で求人を出すことができ、登録された求人票はハローワークの支所にて専用端末で参照できるだけでなくWEB上の専用ページにも掲載されます。
無料であるだけでなく都道府県ごとの対応故、当然地域での人材採用に強みがあります。
こうして依然としてメリットも多いハローワークですが、今回は敢えて現在抱える諸々の課題について色々と考えてみたいと思います。
一番大きな課題は全体の求人数が多すぎるため自社の求人が埋もれることです。
更にはハローワークで求人を探すのは「離職中」の方、またはPCスキルやスマホの利用スキルに乏しい方に偏りがちです。
現職を持つ求職者はハローワークではなくPCやスマホから求人サイトを中心に求人を探している方が殆どです。
また求人内容として掲載できる情報量が限られているため、お仕事の魅力や、求める人材像について上手く求職者に伝えられない可能性もあります。
こうして結果的に採用したい人材からの応募を中々得られないケースが多々あります。
また求人票の作成や選考はすべて自社で行うため、人件費等の内部コストもかさみます。
さらにはマッチング精度が高いチャネルではないため、求人期間をかけてせっかく入社に至った方ができても数か月で退職にいたるというケースも少なくありません。
上記諸々を含めた課題およびトータルのコストと効果を鑑みると、現代の地域中小企業においてもハローワークだけでなく求人サイトや人材紹介の活用も併せて採用を進めることが、効率的・効果的に人材を確保につながると思われます。
②求人サイト・求人広告(マイナビ等)
こちらも皆様の多くが御存知のとおり、求人広告を紙媒体(新聞折込チラシなど)やWeb媒体(転職サイトなど)に掲載して転職希望者から応募を集める方法です。
今回は、特定の地域や読者に絞った求人をおこなう紙媒体については割愛し、全国から求人・求職を募るWEB媒体(転職マッチングサイト)について考えてみます。
Web上での求人サイト・求人広告は、転職時に求職者がまず利用する一般的な方法です。
近年は、求職活動において「WEB媒体を利用した」と回答した求職者は82.4%で1位というデータも出ています。
リクナビNEXT、マイナビ転職、エン転職、doda等が代表的です。
求人企業が求人情報を掲載し、応募してくる転職希望者から選考を行いますが、基本的に誰でも閲覧できるので幅広い層から転職希望者を集めることが可能ですし、潜在転職者層にもアプローチできます。
また、サイトによっては写真や動画などを掲載でき、紙媒体と比べてより多くの情報を掲載できるため内容次第では、多くの応募を集められます。
また、複数人採用することで、採用コストを抑制できる可能性があります。
一方でデメリットとしては、無料のハローワーク等と比較して必ずしも採用確度が上がるとは限らないことや、採用できない期間も費用発生するケースが多いことに加え、ハローワーク同様、応募のあった転職希望者に対して全て選考や面接連絡などを自社で行わないといけないことが挙げられます。
いずれも採用担当者の負担となるため、こちらも費用対効果を考えて求人企業にみあったものを探すことが大切です。
料金形態は掲載課金型、応募課金型、採用課金型のいずれかですが、メジャーな求人サイトの多くが掲載課金型で採用が成功せずとも一定の費用がかかります。
・掲載課金:原則4週間1クールごとに約20万円~約150万円(職種や掲載期間によって異なる)
・応募課金:1応募につき約1万~100万(職種や企業によって異なる)
・採用課金:1名採用約30万円~約150万円(職種や企業によって異なる)
なお、最近はITエンジニアはじめ特定の専門職種を対象とした求人サイトも増えており、また費用形態も様々となってきています。
先に挙げた総合的な求人サイトに加え専門職種の求人サイトについても代表的なものを押さえておくと、求人企業と会話する際に信頼を得られたり有用な情報提供となったりするので有用です。
③求人検索エンジン(Indeed等)
求人検索エンジンとは、求人情報に特化した検索エンジンのことを指します。
全国の求人サイトや企業の採用ページから数百万の求人情報を収集していて、複数の求人サイトを横断しなくても、会社名や職種などキーワードを入力するとマッチした条件の求人をワンストップで検索することができるサービスです(求人検索に特化したGoogleだと捉えると理解しやすいかもしれません)。
CMでおなじみのIndeed(リクルート社)が有名ですが、先述の求人サイト以上に求職者にとっての利便性は高く、Indeed社の発表によると月間当たり延べ2000万人以上のアクセスがあるとのことです。
求職者への利便性の高い求人プラットホームとして、求人サイトと競合しつつ今後も多くの企業に活用されていくことが予想されます。
具体的なメリットとしては以下のような点が挙げられます。
・求人掲載は無料であり多くの求職者にアピールしやすい上、職種や勤務地ごとで求人情報を掲載でき、ピンポイントで求める人材を採用できる可能性が上がる。
・サイト上での求職者の動向についてデータ分析ができる、またサイト上での求職者の動向にあわせて求人の配信をコントロールできる。
デメリットについては以下のような点が挙げられます。
・無料掲載の場合、有料掲載と比較して埋もれやすく、更新しないと表示回数が減る。
・サイト上での求職者の動向のデータ分析ついては専門的な知識が必要であり、別途運用会社に費用を払って運用することが必要。
・サイト上での求職者の動向にあわせて求人の配信をコントロールできる一方で、有料枠でないと求人が埋もれやすくなってしまう。
なお有料掲載の料金は、クリック回数に応じて変化し、求職者にクリックされた回数分の料金が発生します。
④人材紹介(有料)
人材紹介の種類も今や多様化しており、登録型/サーチ型/ヘッドハンティング型/再就職支援/OB人材紹介と様々です。
今回は、地域金融機関が取組み始めている登録型とサーチ型(いずれも両手型での活用を想定)に触れてみたいと思います。
まずサーチ型は、ビズリーチやDodaMapsをはじめとする民間の求職者データベースを地域金融機関がエージェントとして利用し、地域の求人企業に人材紹介を行うケースです。
登録型は、地域の求人企業に対して、自行の求職者帳簿に登録した人材を紹介するケースです。
いずれも採用したい企業と働きたい転職希望者の仲介を行う成功報酬型の人材紹介であり、企業は採用可能性が高い応募者とのみ面接できるため、ミスマッチが起こりにくいです。
また採用が決定してから成功報酬を支払う形式のため、採用ができなかったときに費用が発生することはありません。
くわえて、応募者への合否連絡など、採用活動関連の業務を人材紹介会社が代行するため、採用担当者の工数を抑制できます。
メリットを整理すると以下のとおりとなります。
・成功報酬型のため初期費用がかからない
・採用要件を満たした母集団から選考できる
・求人募集までのリードタイムが比較的短い
・社内の採用担当者の工数を抑えられる
・非公開求人の募集が可能
・エージェントが求人企業に代わって求職者に会社や仕事の魅力を訴求し応募意欲喚起
一方でデメリットには以下のとおりとなります。
・採用人数分の紹介手数料が発生する
・地域や採用要件によっては希望する人材がいない場合もある
地域中小企業における採用の進め方として、まずは自社ホームページやハローワークなどの無料で利用できるコストリスクの低い手段を使い、それだけでは母集団を十分に形成できない場合に有料の求人媒体や人材紹介サービスといった採用手法を検討する流れが多いかと思います。
一方で「安い」「簡単」という理由で採用手法を限定し続けるのは得策ではありません。
集めた母集団の中に採用ターゲットがいなければ、採用成功にはつながりませんし、結果として採用活動が長期化すれば、採用コストが膨らむ原因にもなってしまいます。
採用成功のためには採用にかけられる予算や納期、募集職種、スキルセットなど、多様化する採用ニーズに対応して 、採用単価を抑えながら母集団形成をする必要があります。
そのためには「採用ニーズに合わせて適切な採用手法を選択する」考え方を基本とし、一つひとつの採用手法の特徴を知り、違いを理解しておくことがポイントです。
いかがでしたでしょうか?
地域の求人企業においても採用手法のキャッチアップのレベルはまちまちであるため、今回お伝えさせていただいたような内容をある程度でよいので把握しておき、求人企業と対話すること自体が採用支援になると考えています。
関心をお持ちいただいた方はGoogle検索で「中途 採用手法 比較」と検索していただき、総合比較サイトをご覧いただきながらさらに知見を深めていただければと思います。