地方創生「連携・交流ひろば」 | 地方創生のノウハウ共有掲示板と実践事例紹介人材紹介業務の実務に役立つコンテンツ【Vol.19】地域金融機関が「人材紹介業務」を成功させる秘訣とは?「ケーススタディ 地域企業ならではの経営課題事例(その1)」

2022/1/6配信メールマガジンアーカイブ


 

【Vol.19】地域金融機関が「人材紹介業務」を成功させる秘訣とは?「ケーススタディ 地域企業ならではの経営課題事例(その1)」


第18回に続き、地域金融機関における人材紹介業務を成功させる秘訣についてお送りいたします。
前回のテーマは「ケーススタディ-金融機関ならではの人材紹介事例(その1)」でした。
今回のテーマは「ケーススタディ-地域企業ならではの経営課題事例(その1)」です。
(当メルマガのテーマは、皆様からの御意見・御質問をもとに作成しております)
https://www.chihousousei-hiroba.jp/recruitment/recruitment_NEW_inquiry.html


前回のテーマと同様、過去に日本人材機構による活動で得られたケーススタディで重要な内容を共有していきます。
前回は金融機関だからこそできる人材紹介の事例についてでしたが、今回は「地域企業ならではの経営課題事例」について検証してみたいと思います。


----------------------------------------------------
1. 地域企業における経営課題のランキング
2. 顕著な経営課題への考察(管理・経営企画機能強化/営業・販売力強化/社長の右腕)
----------------------------------------------------


【1. 地域企業における経営課題のテーマ構成】
日本人材機構では、全国の地域金融機関から紹介を受けた地域中小企業に対し、伴走型支援サービスを実施し5年間で259件の人材紹介を成約させてきました。
これを通して得られた分析の一つに、地域企業における経営課題の傾向の検証があります。
259件の支援の中で暑かった経営課題を各テーマに分類して構成比を検証したところ以下のとおりとなりました。


1位 21% 管理・経営企画機能強化
2位 19% 営業・販売力強化
3位 10.5% 製造・生産体制強化
4位 9% 社長の右腕
5位 7.5% 新規事業構築
6位 6% 経営再建/再生
7位 4.5% 事業承継/中継ぎ
8位 4.5% 観光DMO
9位 4.5% 海外事業・海外進出
10位 4% その他
11位 2.5% 商品開発力強化
12位 2.5% M&A
13位 2.5% ITシステム強化
14位 2% IPO準備


地方の経営者が直面している課題、悩み、企業をとりまく環境など、地方の実情をよく反映していると思います。



【2.顕著な経営課題への考察(管理・経営企画機能強化/営業・販売力強化/社長の右腕)】
最も多かったテーマは、「「管理・経営企画機能の強化」です。地方企業の課題の多くが「経営企画機能がない」というものです。
経営企画は本社機能の一つで、スタッフ部門の要ですが、地方では、ライン部門の人員を確保できても、経営企画の整備まで手が回らない、というのが現状です。
「事業は大きくなったが、全体の計数管理ができていない」「事業計画を社員に浸透させたいが、その担当がいない」
「銀行から経営計画の提出を求められているが、作成できる人材がいない」などはよくあるパターンです。


次に多いのは、マーケティングを含む「営業・販売力の強化」です。
人材が足りないと、属人的な個の能力に依存してしまい、組織的な営業ができません。
「ベテラン営業マンが退職し、売上高が減った」「御用聞き営業になっていて新規開拓ができない」「特定の取引先依存のため次の一手が打てない」など明らかなリスクとなっています。
こうした状況では即戦力を求めがちですが、経験値の高い経営人材を採用し、「組織づくりと戦略の策定・実行」という王道を忘れてはいけないと思います。
「売上を増やす仕組みを知っていて、組織に定着させることができる人」が必要だと訴求していく必要があるといえます。


こうして2つのテーマが全体の約4割をしめ、地方企業の経営者にとっても比較的顕在化しがちな大きな悩みであり課題となることが伺えました。
一方で、経営者が気づいていない悩みもあります。
4位につけている「自分を支える右腕がいない」というものです。気づいていない、というよりは目を向けていなかった、といえるかもしれません。



地方企業の社長に時々見られる傾向として「社長が営業をしている」「多忙で会社を不在にすることが多い」「会社のことは全て自分で決めている」というケースがあります。
会社や事業が小さいうちはそれでもよいかもしれませんが、事業規模が拡大すると途端にたちいかなくなるケースが少なくありません。
そうした大きなリスクを孕んでいることを経営者に認識してもらい課題を共有することには労力や時間をかけてでも日々問いかけをしていくことが重要と言えます。
いわゆる持続成長可能な企業となっていくためには「事業や会社の組織的運営」が必須であることを経営者に伝えつつ、
「社長が本来の仕事に使える時間を増やす必要があるのではないでしょうか?」「社長の相談相手が必要ではないでしょうか?」と右腕の採用を薦めることは非常に有効と言えます。


また「右腕人材」はこんな経営課題でも活きてきます。
「息子に経営を譲ったが、苦労しているようだ」という相談はよくあると思います。経営から退いた父親が再び口を出せば、社員はそちらを向いてしまいます。
いつまでたっても息子さんは経営者として成長できないというジレンマを続けることになります。そのようなときも若き社長の番頭として右腕人材の採用を提案します。
社長の右腕となる人材採用は、オーナー企業が多い地方企業特有のテーマといえます。


いかがでしたでしょうか?人材紹介業務に取り組まれている皆様においては、既知のナレッジとして日々の求人企業との課題整理や解決策の検討の協議の中でも
活用されている内容もあるかもしれませんが、一方で、今回具体的に考察しなかった先述の経営課題のテーマも含めて、
求人企業側へ「こういう課題もありませんか?」と問いかける元ネタとして活用いただけるものもあると思いますので、
今回挙げた14のテーマについては今後もその課題詳細の傾向を把握していっていただくことは色々と有用と考えています。