2021/10/11配信メールマガジンアーカイブ


 

【Vol.15】現実的な課題整理のノウハウ(その2)


第14回に続き、地域金融機関における人材紹介業務を成功させる秘訣についてお送りいたします。
前回のテーマは「金融機関における人材紹介の件数を増やす方法」でした。
今回のテーマは「現実的な課題整理のノウハウ(その2)」についてです。
(当メルマガのテーマは、皆様からの御意見・御質問をもとに作成しております)
https://www.chihousousei-hiroba.jp/recruitment/recruitment_NEW_inquiry.html


以下3つのポイントに沿ってお伝えしていきます。
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1. 課題整理の現実的な手法
2. 課題整理における仮説の立て方
3. 課題整理における優先順位付け
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【1. 課題整理の手法】

課題整理については、何をどこまで対応すればいいのでしょうか?
以前のメルマガVol.4でもお伝えしましたが、取引先との経営課題整理は金融機関による人材支援事業の成否を大きく左右します。
その質を上げる為には、初期フェーズでは課題ヒアリングや解決策検討の方法を定型化しつつ徐々に業界・業種ごとの課題や解決策へのナレッジを蓄積し、最終的には取引先との関係性・支援目的および取引先のリテラシーに配慮しながら柔軟にアプローチを変えることが重要となります。


事業性評価起点だけでなく純粋に人材ニーズ起点でも取引先からの求人依頼はあがります。
これに配慮し、事業性評価でのフレームワークや進め方以外にも課題整理の手法を確立しておくのは必須です。
各金融機関での事情に応じて正解は色々あってよいと思いますので、ご参考いただく一例を以下に示してみます。


①人材ニーズの前提となる課題だけでなく全体的な経営課題棚の卸しを提案する
②(合意が得られたら)事業レベルの現状課題と将来課題を協議する(可視化・相関化)
③現状課題・将来課題それぞれの事業課題に紐づく業務課題と人/組織課題を明確にする
④課題整理の最初はヒアリング(質問と傾聴)に注力し言語化・可視化・相関化を支援する
⑤④を経た上で潜在的な問題・課題や解決策に関する「仮説」をもって問いかける
⑥可視化された各課題について課題解決の優先順位を協議する


今回のメルマガでは⑤と⑥について更に考えてみたいと思います。以下2.と3.の項にて詳細をお伝えします。


なお課題抽出の手法については以前vol.4では以下のポイントを挙げていますのでご参考ください
(ポイントそれぞれの詳細は地方創生カレッジのコンテンツ「人材紹介業務の実務に役立つコンテンツ」にて記載してあります)。


・課題を全体的に幅広く棚卸しする
・「事業」「業務」「組織・人」課題を関連させる
・組織図を並べながら質問・討議する
・「組織・人」課題のヒアリングを重視する
・事実を多角的に確認する(現場を視察する)
・事実を多角的に確認する(経営者以外の幹部とも会話する)
・情報(知見・知識)を提供する



【2. 課題整理における仮説の立て方】

そもそも「経営」課題整理における「仮説」とは、何についての仮説を指すのでしょうか。
ここでは課題整理のプロセスやファクターにおけるあらゆる点において「仮説」を考えることと定義します。
「事業課題への仮説」「業務課題への仮説」「人組織課題への仮説」あるいはそれら課題への「解決策」への仮説というところが主に挙げられます。


いずれにしても初期の段階では、金融機関側で考えた「仮説」の提示、以上に経営者が伝えたがっている話を丁寧に傾聴し問いかけること、
時間を割くことが重要となります。その工程で常に「なぜ」を繰り返しながら課題の深堀りをしたり解像度を上げたりしていきます。


そして、これを重ねる中で整合の取れていない話や前提が揃っていない話も出てくるので、それについても追求して整理をしていくことが重要です。
もちろん経営者から回答が得られない内容も出てきますが、経営者において気づきを得たり、ここまで関心を以て話につきあってくれる金融機関としての信頼を得たり、という効果がありますので、重要な取引先に対しては特に怠らずに対応することが必須となります。

最終的に各「仮説」 についてのコンセンサスが得られたら「課題」として今一度整理しなおし、次は課題解決の優先順位に移ります。



【3. 課題整理における優先順位付け】

「仮説」も含めて課題が全体的に洗い出されると、往々にして経営者が元々主張されていた経営課題の前にクリアすべき課題がいくつか明るみとなり、自ずと優先順位付けの協議が必要となります。
例えば幹部人材ニーズを持つ経営者の方が「将来」の「事業課題」を漠然と解決したいと思っていたところから、そのためには「現状」の「事業課題」を解決することが必須と判明し、結果その「事業課題」につながる「業務課題」「人組織課題」の解決が最初に必要であったというところに着地することは少なくありません。
そしてこれらの足元の課題のボリュームが多かったり難易度が高かったりする場合も少なくない中、まずこの「現状」の課題群のみと向き合うのが適切か、「将来」の課題と並行して対処すべきか等を検討する必要が出てきます。
あるいは、焦点となっている「業務課題」と「人組織課題」の両者のうち何れを優先課題とするのか、或いは同時に対処するのか等の議論にまで繋がります。


そしてこの優先順位づけは必要に応じて、後工程の解決策の検討や人材要件定義で考慮することになる現状の企業ステータスや社内リソース(ヒト・モノ・カネ)、引いては人材市場に実在する人材の状況も鑑みながら継続的に協議していく必要もあります。