2021/7/14配信メールマガジンアーカイブ
【Vol.10】地域金融機関から地方創生カレッジへのQ&A事例②
第9回に続き、地域金融機関における人材紹介業務を成功させる秘訣についてお送りいたします。
前回のテーマは「【両手型の人材紹介業務】効果的な人材マッチングとは?」でした。
今回のテーマは特別編②「地域金融機関から地方創生カレッジへのQ&A事例②」です。
前回の特別編①のQ&A内容への読者の皆様の関心が非常に高かったことを受け、
Q&A事例の続編をお送りさせていただきます。
(当メルマガのテーマは、皆様からの御意見・御質問をもとに作成しております)
https://www.chihousousei-hiroba.jp/recruitment/recruitment_NEW_inquiry.html
以下の内容に沿ってお伝えしていきます。
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1. 人材紹介業務に関するQ&A(こんな時どうしたらよいか教えてほしい)
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【人材紹介業務に関するQ&A(こんな時どうしたらよいか教えてほしい)】
○Q&A事例(その1):Question
人材紹介について分かりやすく解説いただきありがとうございます。
私は法人推進の本部に所属しており、現在は伴走型コンサルというキーワードの下、
各種取組を進めております。
そのなかで、企業の課題の本質を見抜く能力を高め、そこから最適な解決策を見出だし
支援していくことが、コンサルの目的であり、人材支援も含めた様々なソリューションは
そのための手段と認識しております。
このように企業の課題の本質を見抜く能力を向上させていくためにはどのような取組を
重視すべきでしょうか。
事業性評価の一環で様々な研修を実施していますが、定着化には至っていないのが現状です。
抽象的な質問で恐縮ですが、宜しくお願いします。
○Q&A事例(その1):Answer
課題の本質を見抜く力をつけるにも最適な解決策を見出すためにも、最初のフェーズは
定型的なパターンを定義して営業店含め共有して進めていくことが現実的であり、
そこから数をこなす中で派生する課題傾向や解決策の傾向について
経験値を上げていく進め方が効率的・効果的といえます。
支援取引先の業界・業種ごとの改題設定や典型的な解決策(ヒトの切り口での解決策)は
必ず同類の傾向にあります。
エリア特性から特に支援先とすべき業界・業種に絞って課題特性やそれへの解決策の
パターンを検討し、それを営業店にも共有しつつ実際の取引先との事業性評価討議の場等で
仮説として提示していくことが非常に大切です。
(単独でのパターン設定や傾向の分析が難しい場合も、提携先の人材紹介会社等に相談しながら
ケーススタディを研究することで同様の効果が得られます)。
尚、地方創生カレッジにおける以下コンテンツをご参考いただくのも有用かと存じます。
https://www.chihousousei-hiroba.jp/recruitment
STEP1 企業への初回アプローチ
STEP2 経営課題の整理
STEP3 解決策の検討
ご参照済みの場合は、その旨を当Q&Aへの再度の質問登録にてご連絡いただけますと幸いです。
さらに推進方法や考え方について補足させていただきます。
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○Q&A事例(その2):Question
営業店から情報のトスアップがあり、帯同訪問の上ヒアリングを実施しますが、
人材紹介を希望する企業の社長の考え(戦略的な人員配置や採用等)が中々決まらない場合、
やはり時間をかけてご提案していくしかないでしょうか。
より決断しやすい提案方法や社長の背中を押すようなアドバイス方法はありますでしょうか。
○Q&A事例(その2):Answer
情報弱者になっている地域の中小企業においては、まず「情報提供」を重ねることが
非常に重要であり、これがあってはじめて課題感が擦り合ってきます。
「これからの時代、現在自社にない或いは不足している経営機能や知見を有する「人材」を
確保できた会社こそが持続成長可能な企業として存続し続ける」ということを、
ご存知の会社がまだまだ少ない現状です。
外部から経営人材を招聘して成功しているケーススタディや客観的な人材市場のデータを
もって色々と情報提供しながら地道に経営者への啓蒙を図っていくことも、地域金融機関
の非常に重要なミッションと考えております。
なお課題設定が合うまでの「情報提供」が効果的な取引先は、以下4点のうち何れか或いは
複数が該当する傾向にあります。
・経営者(実権者・意思決定者)と代々の支店長が関係構築できている
・経営者(実権者・意思決定者)と頻繁に話ができている
・経営者(実権者・意思決定者)が課題解決に対して当事者意識を持っている
・経営者(実権者・意思決定者)が課題解決に対して本気である
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○Q&A事例(その3):Question
同族経営の企業では、やはり幹部人材を同族や縁戚で固めたいとの意向が根強いケースがあります。
そういったケースではどのような切り口で人材紹介を提案するのが理想でしょうか?
○Q&A事例(その3):Answer
同族経営の場合は、企業の強みと弱みの洗い出し、及び今後の事業の方向性やあるべき姿を
明確にした上で、それを叶えるため既存の経営機能(現在の経営幹部が担えている役割や能力)
とのFit&Gapを明確にする議論(必要に応じて問いかけや提案)を行います。
そして不足している経営機能部分を、外部からの人材で補うことが現実的で効率的・効果的で
あることを伝えることが重要です。
可能であれば他社事例でもよいので具体的なケーススタディを示していくと効果的です。
具体的な一例を示します。
とある住宅資材メーカ様が今後の外部環境の厳しさが増して大手からの値下げ交渉が
重なっていくことで既存事業が衰退することを想定し、
既存事業の再構築と注文住宅建築のような新規事業への着手を今後のあるべき姿と
位置づけられました(これは事業性評価における打合せでこちら側からの問いかけや
提案も通してそうなったものです)
そのあるべき姿に対し、既存の強みとしては同族経営によるコンパクトな経営体制で培ってきた
「生産力」「技術力」「実績」「信頼」があったのですが、今後外部環境がさらに厳しくなる中で
「既存事業の再構築」「新規事業の確立」を目指すために必要な経営機能は何かを問いかけ・議論しました。
その結果「市場調査力」「マーケティング力」「商品企画力」「提案営業力」といった攻めの
経営機能を外部から補う必要があるという仮説を提案し合意いただきました。
この結果、上記を兼ね備えた外部の幹部人材を招聘することが決定され実際の成約に至りました。
もちろん、招聘する際の役割として取締役になっていただく方向性を示しながらも最初は
執行役員(社員)でのポジションを提案したことも同族経営での企業における「心理的安全性」を
確保できた一員といえます。
また、次世代の組織図をシミュレーションして協議することも重要です。幹部クラスもふくめて
具体的にどういう役割を担うのか、どういう体制でどういう役割にすれば持続成長可能な「組織」
運営ができるか、これを議論する中で知見ある幹部人材を外部から新たに招聘することが現実的で
効果的であるという理解合わせができるケースもございます。
期待されている回答になっていない場合はお手数で恐縮ですが、再度新しい質問を登録していただけますと幸いです。
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○Q&A事例(その4):Question
紹介人材が就労した後のフォローの仕方などについて、パターンや留意すべき点などはありますでしょうか?
○Q&A事例(その4):Answer
御行で対応されている「片手型」の人材紹介における入社後フォローアップを前提として回答させていただきます。
まず他の地域金融機関様で比較的多い業務フローとしては、以下のとおりとなります。
①提携の人材紹介会社から成約(内定受諾)の連絡を受ける。
②人材会社から内定者へ金融機関への個人情報公開の許諾をとる(入社後フォローアップの意図をお伝えする)
③金融機関から内定者へ連絡をとって面談を行ないフォローアップの内容や段取りを説明する
④入社後、半年の間、毎月もしくは1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月後といった形で候補者側、企業側の両方と面談し、ギャップがないか、
成果が出ているか等について確認をする(通常は担当の営業店が対応)
⑤ギャップ等問題や課題が生じている場合は、必要に応じて本店側の人材紹介の専担者や提携の人材会社と連携しながら、
実権者へも相談を交えながらギャップや課題を共に解消するよう務める(この部分は必須とはなっていない
金融機関もございます(フォローのスキル不足・時間不足等が理由))
この流れを踏まえつつ、自行で可能な内容・レベルに最適化していくことが重要です。
ただしご指摘の通り留意する点がございます。
(1)フォローアップの目的と範囲を明確にする
フォローアップの目的を、入社された方と取引先双方に向けた丁寧な「定着化支援」にするか、
単純な状況確認とする「モニタリング」にするか等、明確に定義する必要があります。
また地域の中小企業に都市圏から幹部人材が入る場合、環境面、企業文化面、組織面、経営者とのコミュニケーション面等、
何かしらギャップが生じてくる部分がございます。
フォローアップの「範囲」として、その内容を把握することに留めるのか、原因を共に究明するところまで支援するか、
さらには解決に向けた具体的な支援まで行うのか等、どこまで自行として行なうのか、本店・営業店ともに明確に定義・共有しておく必要があります。
(2)役割分担を明確にする
上記(1)の「範囲」として定義した内容に対し、本店と営業店の役割分担を明確にする必要があります。
初期のフォローアップとしては、幹部人材が入社した取引先の担当の支店長や課長が直接往訪して、
経営者とも候補者とも面談を行ない、必要に応じて本店の担当者も同行するようなケースが多くみられます。
また取引先の経営者へフォローアップの目的・内容(範囲)を、伴走支援の早期の段階で明確に説明し、
金融機関側の立ち位置を明確にしておく必要があります。
これは、万一問題が起きた際にも不要なトラブルや行き違いを割ける、また信頼関係の維持・強化ためにも
大変重要なこととなります。