2021/5/10配信メールマガジンアーカイブ


 

【Vol.6】現実的な人材要件定義・効果的な求人票作成


第5回に続き、地域金融機関における人材紹介業務を成功させる秘訣についてお送りいたします。
前回のテーマは「現実的な解決策の検討」でした。
今回のテーマは「現実的な人材要件定義・効果的な求人票作成」についてです。
(当メルマガのテーマは、皆様からの御意見・御質問をもとに作成しております)
https://www.chihousousei-hiroba.jp/recruitment/recruitment_NEW_inquiry.html


以下2つの項目に沿ってお伝えしていきます。
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1. 現実的な「人材要件定義」のポイント
2. 効果的な「求人票の作成」のポイント
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「片手型」の人材紹介業務を行なう地域金融機関様においても、成約率を向上に繋がる非常に重要な内容となっていますので、必ず御一読いただけますと幸いです。
(提携する人材紹介会社様との人材要件定義・求人票作成の改善・調整のため)



【1. 現実的な「人材要件定義」のポイント】
ここでは「人材要件定義」の「観点」と「進め方」についてポイントをお伝えします。


□「観点」
まず対象とする幹部人材が課題を解決するため直接的には、課題解決に資する「知識」「技量(スキル)」の観点で人材要件を定義する事が当然必要です。
それに加え、幹部人材が継続して成果を上げその企業に定着していくことまで配慮すると、その人材に求めたい「行動特性(マインド)」「思想・哲学」までイメージ・協議しておくことも非常に現実的で効果的な人材要件定義といえます。


なお「技量(スキル)」については、業種・職種特性に応じた「専門スキル」、業種・職種特性に依らないコミュニケーション能力、マネジメント能力のような「汎用スキル」の両方においてどんな要件が相応しいかを定義する必要があります。


また「行動特性(マインド)」については事業推進や業務遂行における目線やスタンスについて、「思想・哲学」については自身のキャリア選択の根底にある考え方・価値観について、望ましい内容をイメージ・協議していくことも大変重要です。


地域企業へ人材が流入・定着するためには、こういった内容まで配慮する必要がありますが、ここまで出来るのは経営者と頻繁かつ直接に会話する事ができる地域金融機関ならではの強みと言えます。


■「進め方」のポイント
現実的な人材要件定義の進め方として、以下3点を押さえることが重要です。


(1)「幹部人材要件の前提となる課題内容を出来る限り具体化し且つ2,3の課題に絞る」
(2)「企業状況(業務環境・社風・組織・社長の気質」にも配慮して人材要件を協議する」
(3)「転職市場に実在する人材群に合わせて人材要件を協議する」


(1)については、企業側の希望だけで人材要件を作ると最初から纏めて多くの課題解決を期待したり抽象度の高い漠然とした課題の解決を期待する内容となり、結果として人材市場に実在しない人材要件となってしまいがちです。


そのため外部に実在する幹部人材が段階的に成果を上げられるような進め方をすべく、優先度と重要度が高い2,3の課題に絞って人材要件を作るフォローが大切となります。


(2)についても、採用した人材が投資に値するような活躍を長く定着できるようにするために必ず実施する必要があります。その人材さえ採用すれば課題が解決できるという企業側の誤解を解き、外部からの幹部人材への投資効果を発揮する環境・条件・状況を整える事もセットで行なう必要性を認識いただくことが大切です。


更には必要に応じて、その人材を採用した際に必要となる組織変更・追加、環境整備、関連プロジェクトの計画・実施(業務改善・制度設計etc)まで議論することが望ましいと言えます。


人材紹介事業の初期段階では難しいですが、最終的にはこういったフォローまで行えるようになることで、人材紹介の本来の目的である取引先の成長支援や関係構築へ確実に繋げていくことができます。


(3)については、課題解決に必要な人材が実際に市場に存在するか、早期から段階的にチェック(プレサーチ)を重ねることで、非常に現実的で効果的な人材要件定義につながるということです。


実在する転職人材のキャリア・スキル・年齢帯・年収帯・希望条件の実態をチェックし、それを経営者に伝えつつ前提課題とのFit&Gapを確認し更に人材要件の最適化を行います。


このアプローチは、経営者と具体的な採用イメージをすり合わせるとともに、採用意欲が向上するメリットもあります。


更にはこれを重ねるうちに、金融機関における人材担当者自身のナレッジも向上し、次の同類案件においても早期の段階で人材像の当たりをつけることができ効率的に人材要件の協議をリードできるようになります。


また提携する人材紹介会社へ密に協力を仰ぎナレッジを最大限活用することも効率的、かつ効果的な方法です。


適宜、人材要件を提携先へ共有しつつ、類似した過去の成約事例や候補者の実在状況についてヒアリングし、その内容を踏まえた経営者への訴求の仕方についてもアドバイスを求めます。


また、正社員での人材要件として折り合いがつかない場合、条件を調整しつつ業務委託や非常 勤といった契約で活用できる副業プロ人材(後述)の提案も行います。


副業プロ人材の活用においては、企業ライフサイクルにおけるステージごとに顕著となる経営課題においてそれぞれ適性のある人材が増えています。こちらについては地方創生カレッジの以下コンテンツも御参考ください。


※地方創生カレッジ 関連コンテンツ
[STEP4 人材要件定義]-成約率UPのための人材要件定義
https://www.chihousousei-hiroba.jp/library/jinzai_202012/STEP4/02.pdf
[STEP4 人材要件定義]-人材要件の最適化
https://www.chihousousei-hiroba.jp/library/jinzai_202012/STEP4/01.pdf



【2. 効果的な「求人票の作成」のポイント】
求人票作成における一番重要なポイントは、各項目が候補者本位となるように記載することです。
人材市場が買手市場から売手市場にシフトして久しい昨今、優秀な幹部人材には同時に複数の企業からスカウトが集中します。
そういった人材が求めているミッションやキャリアステップの内容にも配慮し、候補者側の立場や目線にたった求人内容に仕立てる事が非常に重要となります。


① 魅力的に映る「企業内容」の立て付けを考える
「企業内容」を説明するにあたり、「事業内容」→「会社の強み」→「今後の展開」といった流れで記載し、 「今後強みをさらに活かして事業展開を図ろうとしている」ことを明確に伝えます 。さらに「事業内容」「会社の強み」「今後の展開」とも箇条書きで3~4点にしぼることを推奨します。


②求めるミッションを魅力的なものにする
求人票に記載するミッション(職務内容)が会社全体の事業ミッションと繋がっていることを、わ かりやすく且つ候補者にとって共感できる内容になるよう整えます。


③ミッション・ポジション・サラリーの整合をとる
実在する幹部人材に合致する求人内容にするため、ミッション・ポジション・サラリーの 整合をとります
・ミッション(職務内容):過度な要件とならぬようMUST要件(3項目以内)に絞ります
・ポジション(役職・職位):ミッションを遂行するのに見合う立場・裁量を確保します
・サラリー(年収):ミッション・ポジションに合致して実在する候補者の希望に合うよう調整します。年収については可能な限りの幅をもたせ、「経験・キャリア・スキルを考慮して面談時に提示」といった文言を入れることが推奨されます。


④企業アピールポイント(業務内容、社風、勤務環境等)も盛り込みます
「自分に合いそうな会社か」「今後のキャリア・スキル形成が望めそう な会社か」を判断できる内容を記載します。
また勤務形態および諸々の待遇にも十分に配慮します(週末に帰省する旅費・交通費の支給、現 地での交通手段(社用車貸与etc))および初期費用(引越し、家財調達etc)


詳細につきましては、以下のコンテンツも御参考ください。


※地方創生カレッジ 関連コンテンツ

[STEP4 人材要件定義]- 成約率UPのための求人票作成
https://www.chihousousei-hiroba.jp/library/jinzai_202012/STEP4/03.pdf