2021/3/3配信メールマガジンアーカイブ


 

【Vol.2】人材紹介業務を通して目指すべき取組体制・支援内容・初期の失敗事例


第1回に続き、地域金融機関における人材紹介業務を成功させる秘訣についてお送りいたします。

前回のテーマは「人材紹介業務で地域企業を支援する意義と効果について考える」でした。(「人材市場の概要」「地方転職登録人材の傾向」「人材紹介事業の効果的な立ち上げ方」)


今回のテーマは「人材紹介業務を通して目指すべき取組体制・支援内容・初期の失敗事例」です。(当メルマガのテーマは、皆様からの御意見・御質問をもとに作成していきます)
https://www.chihousousei-hiroba.jp/recruitment/recruitment_NEW_inquiry.html


以下3つのポイントに沿ってお伝えしていきます。
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1. 目指すべき取組体制(営業店・本店の役割)
2. 目指すべき支援内容(事業スキームとフロー)
3. 初期の失敗事例(自行でも経験すべき案件事例)
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【1. めざすべき取組体制(営業店・本店の役割)】

最近のお問合せとして、金融機関での人材紹介業務を効果的かつ円滑に進めるための取組体制をどうすべきか、という内容を多くいただきます。


金融機関における人材紹介業務の目的である企業の成長支援・関係構築に加え、最終的に収益性ある事業として確立することを目指す場合、理想的な取組体制として以下5点を押さえることが必須となります。
①目的・意義が常に共有徹底されていくこと
②営業店・本店のスムーズな案件の取り次ぎが行えること
③専門性あるナレッジやスキルが積み上げやすく共有されやすいこと
④内外からの情報収集を強化すること
⑤コンソーシアム提携先を中心に積極的に外部連携すること


この5点を可能とする体制づくりに向け具体的に必要なこととして、以下2点がポイントとなります。

①専任担当者の確保(案件管理担当・案件推進担当を個別に専担者として確保)
②経験者の登用(案件推進担当として人材紹介のプロを採用または外部連携)


もちろん最初からできる金融機関は多くありません。先行している他行事例の収集や連携先の人材紹介会社からの協力や情報収集を通して、行内関係者への発信・啓蒙を重ねる日々の努力が必要となります。


詳細について御相談をされたい場合は地方創生カレッジのコンテンツも参照いただいた上で、ぜひ問い合わせをお願いいたします。


※地方創生カレッジ 関連コンテンツ
「人材マッチングの効果的な施策」
https://www.chihousousei-hiroba.jp/library/jinzai_202012/STEP0/02.pdf



【2. 目指すべき支援内容(事業スキームとフロー)】
金融機関における人材紹介業務はどのようなスキームとフローを確立すべきなのでしょうか?


当業務の目的を取引先の成長支援ならびに取引先との関係構築だと位置づけた場合、人材の切り口での解決策を複数持っておくことは、状況が一様でない各取引先に対し柔軟に効果的に対応できる意味で非常に現実的です。
既に人材支援事業が進んでいる金融機関様での事例をみると、金融機関の人材紹介業務だけでなく、自行のグループ会社や提携先の人材紹介会社を巻き込んで以下の3通りの解決策を上手く組み合わせながら運営しているケースが増えています。


①正社員の紹介
②副業プロ人材の紹介
③有償コンサルの紹介(自行・外部)


行内の支援部署、人材紹介会社、プロフェッショナル人材拠点、グループ内のコンサル会社、民間のコンサル会社等と具体的に連携して、金融機関が業法上対応できる(1)人材紹介 (2)有償コンサル (3)ビジネスマッチングの3通りの契約形態の中で、取引先のニーズに多角的かつ柔軟に対応できるスキームと業務フローを確立していくことが必須となります。


このスキームとフローを確保していくことは、自行における収益観点でも非常に現実的であり、営業店も本店もこの事を念頭に置きながら日々取引先のニーズと向き合っていくことが重要となります。


※地方創生カレッジ 関連コンテンツ
「人材マッチングの効果的な施策」
https://www.chihousousei-hiroba.jp/library/jinzai_202012/STEP0/02.pdf



【3. 初期の失敗事例(自行でも経験すべき案件事例)】
人材紹介業務を開始した初期の段階では、営業店から人材ニーズとして受けた内容で取引先を訪問して経営者や実権者と打合せした結果、案件組成すらままならいという事例も多々出てきます。ただし、それは自行における取引先への人材支援事業の第一歩として踏むべき重要なステップであり、この失敗経験を積むからこそ着実な人材支援事業の確立に繋がります。以下、実際に多い事例を挙げてみます。


「そもそも[有料」職業紹介のご支援ということが実験者に共有されていなかった」
「社長からヒアリングした人材要件が転職市場に実在しない条件だった(特に年収面)」
「裁量的に何でも出来る社長と同じ役回りが出来る人材が求められている」
「正社員として幹部人材を雇える体力や時期にない(例:再生フェーズの企業etc)」
「外部から人材を採用するという意向は社長だけで他役員の意向ではないと判明した」
「経営者の課題設定が誤っている中、情報提供交えて課題の見直しを提案しても平行線」
「経営者が気負う余り独善的/専制的な業務管理をしており従業員が疲弊し離職率が高い」


こういう状況下でも一つ一つノウハウやスキルを積んでいくためには、取引先からの漠然としたニーズへの対応について、営業店が忌憚なく本店の人材支援担当に相談できる体制とルールを最初から作っていくことが肝要です。そして営業店の質問や相談に効果的に応えていくため、本店は提携の人材紹介会社とは気兼ねなくタイムリーに質問や相談ができる関係を作っておくことが必須となります。(正社員人材の紹介、副業プロ人材の紹介それぞれについて、提携先の人材紹介会社とのコミュニケーションを日頃から強化していくことが現実的で効果的です)


※地方創生カレッジ 関連コンテンツ
「人材マッチングの効果的な施策」
https://www.chihousousei-hiroba.jp/library/jinzai_202012/STEP0/02.pdf