ヤメコン第9回定例会
ヤメコン/福岡県・八女市
ヤメコンは2017年12月にスタート、福岡市の「フクコン」を体験したメンバーが中心となり立ち上げ、2019年12月の第9回定例会で2周年を迎えました。「福岡/筑後を愛する者のアイデアが募る場所」として、「みんなの知恵で全力支援!」という主旨のもと福岡/筑後をより良い街にするアイデアをプレゼンし、みんなでブレストし合い、そのアイデアが実際のアクションにつながる機会となることを目的として活動しています。2019年12月7日(土)の定例会の模様をレポートします。
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「ヤメコン」第9回定例会の会場は、伝統的建築物が数多く残る八女市街の中でも、一際大きな「旧八女郡役所」。
歴史ある建物をリノベーションして、店舗、カフェ、事務所などの活用が始まっており、リノベーション前の大きなホール的な空間がヤメコン会場の定番ですが、今回は寒い時期になったので、その一角のカフェが会場となりました。 -
本番スタート2時間前の17時には、本日の3人のプレゼンターが集合、プレゼンテーションの練習を行いました。運営スタッフとプレゼンター同士で、プレゼン内容や話し方のアドバイスを出し合い、最後のブラッシュアップを行います。 並行して運営スタッフは手分けして懇親会のための買い出しに行ったり、備品のチェックをしたり、会場の設営も進めます。ヤメコンの会場のユニークなアイデアは、隣接する酒屋さんから分けてもらった酒ケースにダンボールを乗せた椅子です。二階の倉庫からバケツリレーでこれらを運び会場に並べる頃には、すっかりワンチームになっていました。
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土曜日夕方ということで、18時半の受付オープンに続々と参加者が集まり始めます。受付で今日呼ばれたい名前をカードに書いて首からかけるのは、各地と同様です。参加者は初参加者、リピーター、運営スタッフで色分けされたネックストラップをかけていきます。
会場では、顔見知りのメンバーが和やかに談笑、またストラップの色を確認しながら、初めて参加する方にウェルカムの声をかけていきます。
約30人の参加者同士、すでに和気藹々と交流が始まり、会場の雰囲気が温まります。 -
19時になりヤメコン第9回定例会のスタートです。
まず、参加者全員をウェルカム。初めて参加した方、二度目以上の方、八女市外からの参加者、八女市内の人達、それぞれに声をかけ、挙手してもらい、全員で「ようこそ!」の大きな拍手を送り合います。
今日は、広い八女市の各地区からだけでなく、近隣の久留米市、小郡市、鳥栖市などからの参加者もいて、ヤメコンの活動が八女市だけでなく筑後地区へも広がり、まちづくりの場として根付いていることが伺えました。
そして、近くに座る2〜3人で簡単な自己紹介と今日の期待の会話を行い、会場は一体になっていきます。 -
そして、ヤメコンのこれまでの活動と今日の流れ、進め方のルールをガイドするオリエンテーションからスタートです。
オリエンテーションの場で大切なのは、とにかくウェルカム。参加者全員の緊張が解けリラックスし、まるで何度も参加した顔なじみのように、自分のホームであるように、この場を楽しめる場づくりを行います。
また、2年にわたるヤメコンの活動の中で、実現したプロジェクトの紹介なども行われ、この後のプレゼンへの期待が高まります。 -
19時半になると、いよいよプレゼンターを迎える時間のスタートです。ここで、会を進行するリード役の2人が交代。運営メンバーがなるべく固定せずに会をリードする機会を持てるようにし、運営を楽しめるようにという意図からの工夫でもあり、進行役がバトンタッチすることで、場の空気を、参加者のウェルカムと居心地をよくする場づくりから、プレゼンターを迎える応援のエネルギーをより高める場へと、切り替える役割も担っています。
そして、いよいよプレゼンターを迎えます。3人のプレゼンターのうち2人は福岡在住で、福岡に一旦出たけど、地元のまちづくりに関わりたい、という参加者が多いのもヤメコンの特徴の一つです。 -
トップバッターは、福岡市内に住みながら地元八女のまちづくりにコミットしている櫻木茉実さん。
櫻木さんは、一度の人生なんだからいろんな経験をしたい!をモットーに海外も含めて多彩な体験を重ねてきたことを披露、その上で改めて八女の素晴らしさを広めたい気持ちが高まり、「八女茶まる」というキャラクターも作り、八女の魅力を発信する「八女茶まる通信ブログ」を開設、この情報発信をたくさんの人を巻き込んでやっていきたい、という思いを地元の言葉とユーモアたっぷりにプレゼン。ブレストのテーマは「みんなで八女のよかとこを発信するメディアを盛り上げるアイデア」。 -
2人目は八女市内の黒木町での「黒木町ルネッサンス」というまちづくり活動の仕掛け人、堤 淳子さん
40年福岡で仕事をし生活した後、黒木町へUターン、
黒木は昭和40年代まで栄えていたのに、その後衰退してしまったことに心を痛め、さらに豪雨災害で失ったものもたくさんあるが、いいもの、見所はたくさんある黒木を再び盛り上げていこうという活動をされています。町のいいところを再発見するには町歩きから!ということで2020年3月に町歩きイベントを企画しており、「町歩きイベント参加者を癒す立ち寄りスポットのアイデア」がブレストテーマです。 -
3人目は、福岡市内でデザイナーをしている井上凉さん。
1月からは出身の広川町に地域おこし協力隊としてUターン、空き家活用を進めていくという若者です。
前回のヤメコンに参加して、残念だったのが若者が少ないこと。同世代の若者は八女にもっといるはず、友達の半分は地元にいるのに、どうやったらつながれるのだろう、という課題を感じ、同世代の若者が仕事と家と同級生のつながりだけに閉じずに、横のつながりをもっと体験でき、住んでいる街でもっとワクワクを感じて欲しい!という思いから、12歳から20代限定の「八女若者会議」を開催したいとのこと。そこで「若者会議の参加者が集まるためのアイデア」がブレストテーマです。 -
3組のプレゼンが終わると、ブレストタイム に突入です。
参加者は、3組のプレゼンターから、ブレストで応援するプレゼンターをそれぞれ選択し、3つのグループに分かれて、車座になります。
ヤメコンのブレストは、アイデアの数が勝負。そのために、ブレスト中に質問が出て、アイデアが出る流れを途切らさせないように、先に3分間の質問タイムをとります。
プレゼンターの深い想いや、これまでの経験、仲間はいるのか、ハードルがあるとすれば何か? などの質問が出て、プレゼンターが答えていきます。
この質問タイムで、すでに参加者はプレゼンターの熱い想いに寄り添う気持ちが高まっていきます。 -
質問タイムが終わると、いよいよブレストのスタートです!
ヤメコンでは、各ブレストグループごとにアイデアの数を宣言して、モティベーションを高めます。
1組目は目標77個、2組目は30個、3組目は1000個!という目標が宣言されました。
さすが2周年を迎えたヤメコン、慣れたメンバーがリードして、すぐにそれぞれの輪から盛んに笑い声が上がり、速いペースでアイデアが出ていきます。 -
各グループのブレストで出たアイデアは、メモ役を買って出た参加者が、どんどんメモしていきます。
ブレストの最後には、各グループごとに、メモされたアイデアの数を数え、その中から、全体に発表するアイデアを一つ選びます。
そして、大きな拍手で互いにブレストに集中したことを讃え、15分弱のブレストタイムが終了です。 -
続いて、各グループからブレストで出たアイデアの数と、一押しのアイデアを1つ発表していきます。
1組目「みんなで八女のよかとこを発信するメディアを盛り上げるアイデア」は、アイデア数目標77個に対し33個。発表したアイデアは、八女と「辞め」をかけて、「辞めちゃった人/辞めたい人は八女においで! 辞めたら八女で笑顔になれるよ」キャンペーンをネット動画でやる、というアイデアでした。 -
2組目「町歩きイベント参加者を癒す立ち寄りスポットのアイデア」は、目標30個に対して33個のアイデア、選んだアイデアは「立ち寄りスポットで食べ物を食べて、次の人にリレーをする食べ歩きリレー」でした。
3組目「若者会議の参加者が集まるためのアイデア」は、目標1000個に対して30個のアイデア、1つ選んだアイデアは、「若者vs〇〇 として、若者と八女のいろんな人が対話するイベントをやる」でした。
3組の発表が終わり、アイデアを出しきって、プレゼンターを応援した会場全体が、さらに熱気で一体となりました。 -
そして、ブレストのアイデアを受け取った各プレゼンターの次の一歩を生み出す「ブレストまとめ」の時間です。
ヤメコンでは、リード役の二人が、ブレストで出たアイデアについてプレゼンターと会話しながらまとめ、次の一歩を作り出します。時に迷走もしつつの楽しいまとめのプロセスに、会場は爆笑に包まれます。
1組目の「辞めたら八女で笑顔になれるよ」キャンペーンについては、「八女茶を飲みながら、辞めたい/辞めた人を元気にする八女のいいところをブレストする」というまとめとなりました。参加を募ったところ10人弱の手が挙がりました。 -
2組目の「黒木の食べ歩きリレー」については、3月のイベントに向けて、食べ歩きリレーを企画するために、実際に食べ歩いて美味しいものを見つける試食ツアーをやる、というまとめとなり、参加者を募ったところ10人以上の手が挙がりました。
3組目の「若者vs〇〇」については、まず集められそうな〇〇の人をピックアップする「若者会議のための若者じゃない人たちも入った会議」をやる、というまとめとなり、会場から参加者を募ったところ、こちらも10人以上の手が挙がりました。
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プレゼンターそれぞれの次の一歩と、それを応援するメンバーが立ち上がったところで、もう一度全体で大きな拍手。
そして次は、ヤメコンでプレゼンし、プロジェクトが実現した、うれしい報告のコーナーです。
前回のヤメコンで「おにぎりプロジェクト」をプレゼンした高校生の鹿子生 由依さんからは、9月にプレゼンし、アイデアと仲間が集まって、おにぎりを食べた写真をハッシュタグをつけて投稿することでアジア・アフリカの子供たちに給食が寄付されるプロジェクトに、八女のみんなで参加することができたという、素晴らしいスピードでプロジェクトを実現できたことが報告されました。 -
2人目の報告は、1年前に「つながるツリーハウス」をプレゼンした小宮国枝さん。ヤメコンでプレゼンしたことで、補助金が取れる可能性を教えてもらえたり、実際にツリーハウスを作っている名人を紹介してもらえたり、現実が一つ一つつながりだし、ついにツリーハウスを作ってみていいよ、という場所を提供してくれる方にも巡り合ったという、まさに夢が実現しつつあるとのこと。
そうしたプロセスを経て、いよいよ実際に八女の森でツリーハウスづくりを始めることになった、という素晴らしい報告でした。 -
最後に、ヤメコンでのプレゼンターの募集の時間を取っているのもヤメコンならではの工夫です。
本番の2週間前に一度プレゼンの練習を行い、メンターがついて本番までアドバイスをしっかり行い、一緒にプレゼンをブラッシュアップする、という仕組みがしっかり出来上がっているのも、2周年を迎えたヤメコンの積み重ねの一つの成果と言えるでしょう。
こうした説明を経て、今後プレゼンしたい人を募ったところ、なんと、3人の手が挙がり、参加者全員が大きな拍手を送りました。 -
定例会を終えて、お楽しみの懇親会は、場所を移さずこの会場で行われます。参加者みんなで会場の模様替え、設営を分担して、アットホームな雰囲気の中で、懇親会スタートです。
プレゼンターも過去のプレゼンターも参加者も、まだまだアイデアが止まらず、会話は盛り上がります。今後プレゼンしたいチャレンジについての相談や、まちづくりの活動をやっている上での課題やハードルなどの相談も活発に会話され、予定時間をオーバーして盛り上がりました。
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運営メンバーから一言
福岡の「フクコン」とその源流の「カマコン」にインスパイアされて、ヤメコンが立ち上がってから2周年を迎えました。「福岡/筑後地域を愛する人のアイデアが募る場」という目標に向かって続けてきたことで、だんだんと八女だけでなく近隣のエリアの人たち、そして八女が大好きだったり、八女に縁があったりして、福岡市や周辺エリアから八女で活動したい、という人たちの受け皿として、形になってきた手応えがあります。今回、9月にプレゼンしてすでにイベントを実現した高校生の報告も聞けて、本当に素晴らしいと思いました。
運営メンバーもうまくバトンを受け継ぎながらだんだん拡大しているので、これからさらに、このエリアのまちづくりの活力源になれたらと思っています。
徳永 尊志 さん