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第1回「地方創生カレッジonワーケーション」研修を開催しました
地方創生カレッジ事務局 | 2022-01-12 18:30:55
2021年12月21日に、第1回「地方創生カレッジonワーケーション」研修を開催しました。
本研修は、「ワーケーションを契機とした地方創生」をテーマに、ワーケーションの基礎知識の理解と受入れ地域の多様な実践事例を通し、ワーケーションが地域・にもたらす様々な可能性を考えることで、取組み地域の支援を目的としています。
全3回を通し講師としてご登壇頂くのは、観光学をご専門としワーケーション研究に詳しい山梨大学の田中敦先生です。
第1回目の研修は以下の流れで行いました。
◆事前課題への取組み
研修を始める前に受講生の方々には、ワーケーションへの取組状況や自地域における移住定住への施策について尋ねる事前課題に取り組んで頂きました。
以下、事前課題の主な回答内容をご紹介します。
<受講生30名の所属組織の内訳>
DMOおよび観光協会・・・約半数
自治体(自治体関連)・・・約4分の1
その他 ・・・地域事業者、観光関連企業、NPO組織 等
<ワーケーションに取り組みたい理由や経緯>(主な回答)
・新たな観光振興事業として需要を開拓するため
・ワーケーションを起点とした関係人口・移住定住の増加、居住人口の創出
・誘致企業と地域企業との共同による新たな地域ビジネスの創出、地域課題の解決
・日本における働き方の多様化に地域として対応するため
・遊休施設の有効利用、空き家対策として
<所属組織のワーケーション取組状況>
「興味はあるがまだ取組んでいない・検討中」・・・約半数
「今年度から具体的に取組み始めた」・・・約3割
「既に取組んでいる」・・・約1割
<自地域の行政が策定する移住・定住施策とワーケーションの位置づけ>
ワーケーションを移住・定住や関係人口創出の手段として、総合計画の中で位置付けている自治体は、全体の約3分の1に止まりました。
◆山梨大学 田中先生による講義
事前課題の回答結果を踏まえ、第1回講座では「ワーケーション推進の背景をひもとく」と題し、現在のワーケーション推進の動きに至る背景や多様なワーケーションの現状について、田中先生よりデータや事例を取り混ぜながら解説を頂きました。
主な内容は以下の通りです。
1. ワーケーションの概念の整理
(参考)日本航空の取組み紹介(動画視聴)
https://www.youtube.com/watch?v=AF6GjnLKC3k (「土と海と人」webサイトより)
2. 4つのステークホルダーとそれぞれの期待と課題
■ 従業員・働き手の意識
(副業、自律的な働き方、越境学習、クリエイティブな環境…)
■ 受入地域・行政
(関係人口の増大、多拠点居住・移住への導線、空き家対策、住民との交流促進…)
■ 関連事業者
(地域との連携強化による事業拡大(デベロッパー・ICT)、新たな業態による需要拡大、地域観光事業者の活性化…)
■ 企業側の意識
(働き方改革、テレワークの推進・BCP対策、優秀な人材の確保、休暇取得促…)
3. リアルワーケーターの特性 ~1000名の経験者調査から~
(参考)山梨大学×クロスマーケティング「ワーケーションに関する調査」
https://www.yamanashi.ac.jp/wp-content/uploads/2021/04/20210506pr.pdf
4. 企業にとってのワーケーション推進のメリット
■ 新卒・中途採用の競争力向上や優秀な人材の流出防止の効果
■ 働く場所の自由度と効果
■ SDGsと地域貢献志向
5. まとめ
~企業のワーケーションへの取組みとコロナ禍で潜在化しているワーケーターの可能性~
現在、日本の特に20代、30代でワーケーション熱が相当高まっているが*、日本においてワーケーションが広く定着する為には、まずは企業が環境整備に取り組むことが必要。
例えば「フレックス プレイス制度」(就労場所に柔軟性をもたせる制度)を設けるなど、企業が実現しやすい仕組みからスタートし、色々な事例を作りながら水平展開していくことが必要。
また、個人が色々な場所で多様なつながりをもつことは、これからはとても重要であり**、特に新しいことを始める時には複数のコミュニティーにいることで良い効果が得られることは明らかになっている。これまでは、ワークライフバランスなど働く人の視点で捉えられることが多かったが、働く人の多様性を大切にしていくことは、従業員と企業という枠を超え、地域も交えた新たな価値創造を生みだすことに繋がるだろう。
*じゃらんリサーチセンター「とーりまかし」65号(2021)より
**リクルートワークス研究所 【提言ブック】マルチリレーション社会~多様なつながりを尊重し、関係性の質を重視する社会~より
◆質疑応答
受講生からは下記の質問が寄せられ、それぞれ田中講師よりお答えいただきました。
(質問)サテライトオフィスを作りたい企業にアプローチする良い方法はあるか。
(回答)
まずファーストアプローチとして、モニターツアーをするなどして何らかの形で来てもらうことが必要。ITやデザイン関連のように業種的にサテライトオフィスを進めやすい企業や自地域の産業と何らか結びつきのある企業等にある程度ターゲットを絞り、各県の東京事務所などとも連携しながらPRしていくことが現実的では。
併せて、その地域にいることメリットについても、自分たちの地域のリソースをみつめ直し検討していくことが大事だと思う。
(質問)テレワークの起源について教えて欲しい。ワーケーションについて、地域事業者に説明する際、どのように話をすると良いか。
(回答)
もともとは自宅以外で仕事ができる環境にある人達が、フリーランス的に色々な場所で働き始め、「デジタルノマド」と呼ばれるようになってきたことだと思うが、現在、地域側が積極的に誘致をしているのは、企業の合宿型やサテライトオフィス型などで、何らかの形で地域に根付き、継続的に関わってくれるタイプの人を求める意向が強いと感じている。
地域事業者への説明としては、初めは個人の休暇の途中に少し仕事をするということが起源ということを話した上で、実際には様々な国の政策(地方創生テレワークやデジタル田園構想など)、補助金があること、またそういうものとワーケーションを上手く組み合わせることによる地域のメリット等を説明し、議論を重ねていくと良いのでは。
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第2回は1月18日(火)13:00~15:00に開催します。
次回はワーケーション先進地からの事例発表と次年度に向けた国の取組を紹介致します!
◇ご登壇頂く皆さま◇
(事例発表)
鳥取県北栄町副町長 岡本 圭司さま、
鳥取県ふるさと人口政策課 関係人口推進室長 森田 雅典さま(移住・関係人口創出)
信州たてしな観光協会 渡邉 岳志さま(リゾートテレワーク)
徳島県美馬のナカガワ・アド株式会社 中川 和也さま(コミュニティーづくり)
(コメンテーター)
ワーケーション自治体協議会事務局長の和歌山県 桐明 祐治さま
(国の取組みご紹介)
内閣官房 デジタル田園都市国家構想実現会議事務局 内閣参事官 野村 栄悟さま
(ファシリテーター)
山梨大学 田中 敦 先生
********************************************************************************************
<お問い合わせ>
公益社団法人日本観光振興協会
観光地域づくり・人材育成部門
観光地域マネジメント担当 岩本・鈴木
kokunai@nihon-kankou.or.jp
本研修は、「ワーケーションを契機とした地方創生」をテーマに、ワーケーションの基礎知識の理解と受入れ地域の多様な実践事例を通し、ワーケーションが地域・にもたらす様々な可能性を考えることで、取組み地域の支援を目的としています。
全3回を通し講師としてご登壇頂くのは、観光学をご専門としワーケーション研究に詳しい山梨大学の田中敦先生です。
第1回目の研修は以下の流れで行いました。
◆事前課題への取組み
研修を始める前に受講生の方々には、ワーケーションへの取組状況や自地域における移住定住への施策について尋ねる事前課題に取り組んで頂きました。
以下、事前課題の主な回答内容をご紹介します。
<受講生30名の所属組織の内訳>
DMOおよび観光協会・・・約半数
自治体(自治体関連)・・・約4分の1
その他 ・・・地域事業者、観光関連企業、NPO組織 等
<ワーケーションに取り組みたい理由や経緯>(主な回答)
・新たな観光振興事業として需要を開拓するため
・ワーケーションを起点とした関係人口・移住定住の増加、居住人口の創出
・誘致企業と地域企業との共同による新たな地域ビジネスの創出、地域課題の解決
・日本における働き方の多様化に地域として対応するため
・遊休施設の有効利用、空き家対策として
<所属組織のワーケーション取組状況>
「興味はあるがまだ取組んでいない・検討中」・・・約半数
「今年度から具体的に取組み始めた」・・・約3割
「既に取組んでいる」・・・約1割
<自地域の行政が策定する移住・定住施策とワーケーションの位置づけ>
ワーケーションを移住・定住や関係人口創出の手段として、総合計画の中で位置付けている自治体は、全体の約3分の1に止まりました。
◆山梨大学 田中先生による講義
事前課題の回答結果を踏まえ、第1回講座では「ワーケーション推進の背景をひもとく」と題し、現在のワーケーション推進の動きに至る背景や多様なワーケーションの現状について、田中先生よりデータや事例を取り混ぜながら解説を頂きました。
主な内容は以下の通りです。
1. ワーケーションの概念の整理
(参考)日本航空の取組み紹介(動画視聴)
https://www.youtube.com/watch?v=AF6GjnLKC3k (「土と海と人」webサイトより)
2. 4つのステークホルダーとそれぞれの期待と課題
■ 従業員・働き手の意識
(副業、自律的な働き方、越境学習、クリエイティブな環境…)
■ 受入地域・行政
(関係人口の増大、多拠点居住・移住への導線、空き家対策、住民との交流促進…)
■ 関連事業者
(地域との連携強化による事業拡大(デベロッパー・ICT)、新たな業態による需要拡大、地域観光事業者の活性化…)
■ 企業側の意識
(働き方改革、テレワークの推進・BCP対策、優秀な人材の確保、休暇取得促…)
3. リアルワーケーターの特性 ~1000名の経験者調査から~
(参考)山梨大学×クロスマーケティング「ワーケーションに関する調査」
https://www.yamanashi.ac.jp/wp-content/uploads/2021/04/20210506pr.pdf
4. 企業にとってのワーケーション推進のメリット
■ 新卒・中途採用の競争力向上や優秀な人材の流出防止の効果
■ 働く場所の自由度と効果
■ SDGsと地域貢献志向
5. まとめ
~企業のワーケーションへの取組みとコロナ禍で潜在化しているワーケーターの可能性~
現在、日本の特に20代、30代でワーケーション熱が相当高まっているが*、日本においてワーケーションが広く定着する為には、まずは企業が環境整備に取り組むことが必要。
例えば「フレックス プレイス制度」(就労場所に柔軟性をもたせる制度)を設けるなど、企業が実現しやすい仕組みからスタートし、色々な事例を作りながら水平展開していくことが必要。
また、個人が色々な場所で多様なつながりをもつことは、これからはとても重要であり**、特に新しいことを始める時には複数のコミュニティーにいることで良い効果が得られることは明らかになっている。これまでは、ワークライフバランスなど働く人の視点で捉えられることが多かったが、働く人の多様性を大切にしていくことは、従業員と企業という枠を超え、地域も交えた新たな価値創造を生みだすことに繋がるだろう。
*じゃらんリサーチセンター「とーりまかし」65号(2021)より
**リクルートワークス研究所 【提言ブック】マルチリレーション社会~多様なつながりを尊重し、関係性の質を重視する社会~より
◆質疑応答
受講生からは下記の質問が寄せられ、それぞれ田中講師よりお答えいただきました。
(質問)サテライトオフィスを作りたい企業にアプローチする良い方法はあるか。
(回答)
まずファーストアプローチとして、モニターツアーをするなどして何らかの形で来てもらうことが必要。ITやデザイン関連のように業種的にサテライトオフィスを進めやすい企業や自地域の産業と何らか結びつきのある企業等にある程度ターゲットを絞り、各県の東京事務所などとも連携しながらPRしていくことが現実的では。
併せて、その地域にいることメリットについても、自分たちの地域のリソースをみつめ直し検討していくことが大事だと思う。
(質問)テレワークの起源について教えて欲しい。ワーケーションについて、地域事業者に説明する際、どのように話をすると良いか。
(回答)
もともとは自宅以外で仕事ができる環境にある人達が、フリーランス的に色々な場所で働き始め、「デジタルノマド」と呼ばれるようになってきたことだと思うが、現在、地域側が積極的に誘致をしているのは、企業の合宿型やサテライトオフィス型などで、何らかの形で地域に根付き、継続的に関わってくれるタイプの人を求める意向が強いと感じている。
地域事業者への説明としては、初めは個人の休暇の途中に少し仕事をするということが起源ということを話した上で、実際には様々な国の政策(地方創生テレワークやデジタル田園構想など)、補助金があること、またそういうものとワーケーションを上手く組み合わせることによる地域のメリット等を説明し、議論を重ねていくと良いのでは。
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第2回は1月18日(火)13:00~15:00に開催します。
次回はワーケーション先進地からの事例発表と次年度に向けた国の取組を紹介致します!
◇ご登壇頂く皆さま◇
(事例発表)
鳥取県北栄町副町長 岡本 圭司さま、
鳥取県ふるさと人口政策課 関係人口推進室長 森田 雅典さま(移住・関係人口創出)
信州たてしな観光協会 渡邉 岳志さま(リゾートテレワーク)
徳島県美馬のナカガワ・アド株式会社 中川 和也さま(コミュニティーづくり)
(コメンテーター)
ワーケーション自治体協議会事務局長の和歌山県 桐明 祐治さま
(国の取組みご紹介)
内閣官房 デジタル田園都市国家構想実現会議事務局 内閣参事官 野村 栄悟さま
(ファシリテーター)
山梨大学 田中 敦 先生
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<お問い合わせ>
公益社団法人日本観光振興協会
観光地域づくり・人材育成部門
観光地域マネジメント担当 岩本・鈴木
kokunai@nihon-kankou.or.jp
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