2022/2/22配信メールマガジンアーカイブ
【Vol.21】地域金融機関が「人材紹介業務」を成功させる秘訣とは?「第1回 金融機関しゃべり場トークLIVEの内容ご報告」
第20回に続き、地域金融機関における人材紹介業務を成功させる秘訣についてお送りいたします。
前回のテーマは「第1回 金融機関しゃべり場トークLIVEの内容ご報告(その1)」でした。
今回のテーマは「第1回 金融機関しゃべり場トークLIVEの内容ご報告(その2)」です。
(当メルマガのテーマは、皆様からの御意見・御質問をもとに作成しております)
https://www.chihousousei-hiroba.jp/recruitment/recruitment_NEW_inquiry.html
今回は、さる11/25(木)に実施されました第1回 金融機関しゃべり場トークLIVEの内容の続編を共有させていただきます。
初回ながら12行からの御参加をいただき活発な情報交換やQ&Aが行われ、前回の号では記載しきれないほどのトーク内容となったため、
続編として今回もその内容をお送りさせていただきます。
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1. 「両手型」に関する取組状況や課題(前回からの続編)
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【1. 「両手型」に関する取組状況や課題(前回からの続編)】
○人材チャネルの確保について
(Question)
現在当行は両手型において自行のOB人材しか扱っていないが、他行はどのようにして人材チャネルや人材プールを確保しているのか?
またどういう形で人材紹介の求人内容を作っていくのか知りたい。
(Comment)
両手型の人材チャネルとしてビズリーチなどの民間の人材データベースを活用している。
将来的には独自の地域人材データベースを作っていくことも考えられる。(REVICから提供される無料の人材DB「レビキャリ」にも期待している)
(Question)
他行では取引先との課題の整理および人材要件の抽出はどのようにやっているのか?
(Comment)
当行では人材紹介はヒトの切り口での解決方法のひとつという考え方をしている、当行ではコンサルティングをかなり内製化しており、
取引先の課題解決に対してヒトの切り口での解決として人材紹介だけに固定せず、社内の人材を育成する方法もあるし外部コンサルを活用する方法もとっている。
事業性評価をはじめ経営者といろいろいろいろ目線合わせをしながら解決方法を模索していく。
基本的には人材紹介を押し売りすることもなく営業店の法人担当が課題の発掘、目線合わせをすることに注力している。
○両手・片手の使いわけについて
(Question)
当行は片手型と両手型を使い分けながら勧めている、最初は両手型について経営人材の案件についてフォーカスしてやっていこうとしていたが
中々そういう案件が出てこない。他行では両手型・片手型をどのように使い分けているのか?
(Comment1)
幹部人材は両手型、ワーカー層はBMとしている。幹部人材の求人については事業性評価はじめ課題整理の出口として人材要件を提案・発掘していくのが良いのではないか?
この辺りは、他の地方創生カレッジのセミナーでやっている両手型のワークショップ等(みらいワークスが主催)を参考にするのは良いのではないか?
(Comment2)
当行も幹部人材は両手型、ワーカー層はBMとしているが、さらに幹部人材案件の数的に全て両手型で対応できないので、
関係の深い取引先の求人を優先的に両手型で対応し、他を提携の人材紹介会社へ片手型で依頼している。
○営業店連携について
(Question)
当行では、営業店連携においてインセンティブ収益還元を大事にしている。
一方で支店別やブロック別での合同での勉強会の開催をタイミング良くやっていくことで成果が上がると思うが、それ以外で実績が上がるようなやり方があれば教えてほしい。
(Comment1)
トスアップの現状として、営業店への周知は社内への掲載と勉強会。主要店を中心に一巡はした。
能動的にトスアップの周知を促してないが、それでもあがってくるようになったので効果はあったと思っている。
(Comment2)
通達よりは人材紹介の担当者がそれぞれ個別の支店を直接回るということを重視している。
ブロックごとや2カ店ごととかいろんなパターンをつくりながら、「そもそもこういうことやっていますよ」と、
地道に活動内容・支援内容を個別に営業店に紹介していき2、3ヶ月やり続けている段階(当然インセンティブも具体的に伝えている)。
(Comment3)
営業店向けには直接伝えないというところがかなり共感するところ。啓蒙は11月からはじめているがひしひしと感じている。
これら以外にも方法はあるのか知りたい。
(Comment4)
営業店からのトスアップ、地味な営業店訪問は大事だが特色ある取り組みとして、本部行員がコンサルティングやってきたい。
17拠点の本部行員がヒアリング・求人票作成できる体制を組んで一定の効果はあったが、
弊害として求人票を作るところは(求人企業を直接訪問していない)本店側の人材紹介担当者になり、求人票の精度に支障がでた。
このため、本店側の3人の専担者が直接訪問して話しして伺って求人票作るのがいいと現在は考えている。
ちなみに支店長は人材紹介業務とそれで必要となる課題整理や解決策の検討について分かっているようで分かってないので、
こういう店でも本店側が直接訪問して地味なサポートを続けていくのが大切。
○両手型のメリットについて
(Question)
まさに両手型への移行検討最中だが、両手型のメリットが知りたい。
(Comment1)
当行としては両手型7月から始めたものの成果上がってないのでやる必要合ったのかなと迷いがある。
まずは1件決めるという目標に対し1日50件等スカウトししている。
これが正しい進め方なのか本末転倒なのか、判断することが出来ない事自体も課題に思っているところ。
(Comment1)
両手型を実施していて痛感するメリットは二つある。一つは取引先である求人企業の経営者の懐に入れるところ。
もう一つは定着支援や成長支援に向けたフォローアップが確実にできること(フォローアップは人材紹介のリスク・トラブル対策も容易にする)。
採用工程まで伴走するので候補者面談に同席でき、その中でも候補者交えて課題の整理や解決に向けたディスカッションになることでより深く社内に入り込める。
経営者からの信頼もより上がっていく(経営者からみて金融機関の担当者がこれまで社外の立場にみえていたところから社内の立場にみえるようになることもある)。
そして採用工程では経営者と候補者で会話された内容も全て把握できること、目標設定や他幹部との面談設定含めた入社前フォローアップもできることで、
定着支援・成長支援に向けた入社後フォローアップを確実なものにすることができる。
またフォローアップのレベルがあがることで人材紹介のリスク・トラブル対策も容易にすると思う。
○両手型のレピュテーションリスクについて
(Question)
レベル高い会話が交わされているが、レピュテーションリスクはないのか?
(Comment1)
失敗事例ある。「金融機関の紹介だから間違いない人(候補者)だろう」と求人企業からみられる場合がある。
取引先からしたら、人材紹介業務で訪問してくる金融機関担当者のことを人材紹介会社ではなく結局金融機関としてみるので難しいところはある。
そこについての納得性は、企業に対しても求職者に対しても丁寧に面談回数を重ね、全ての工程でフォローを入れたりしてカバーしていくしかないと思っている。
(Comment2)
ヒトを扱う支援なのでリスク・トラブルはあるし当然レピュテーションリスクはある。当行での両手型立ち上げ時も相当議論になった。
ただ逆にそれがあるからこそ強引に開始したというのはある(経験していかないとということで)。
まずは取引先である企業がリスク・トラブルに巻き込まれないよう社長と一緒に見定めていくということを両手型の伴走支援においてやっているつもり。
この候補者は見送った方がいいのでは?と提案することもある。役員クラス以上の採用・面談では支店長も同席するというのもやっている。
○手数料をもらうタイミングについて
(Question)
人材紹介業務おける紹介手数料の請求は、入社時のタイミングでとなっているが適正なのか?
紹介した人材が入社後6ヶ月たって定着・活躍をしているのを確認してからという方がいいように思うが。
(Comment)
民間の転職向け人材データベース使うと費用が出る(成約時は人材データベース会社にも手数料を入社時点で30%払う)ので、
有料職業紹介を行う人材紹介においては候補者入社時のタイミングというのが適正。
○両手型での収益化について
(Question)
人材紹介事業がを銀行本体の中でどれぐらいの位置づけかというのかに関心がある。
人材紹介事業は両手型じゃないと収益があがらないと思っているが、早期黒字化するので当然両手型をやらないといけないというのがあるが、他行はどうしているのか?
(Answer)
銀行本体ではなくグループ会社として切り出して独自でやってるので早期黒字化は必須と思っている。
逆に言うと態々切り出したのは、銀行におけるポジションとしては結構高い位置においているから。
KPIは粗利、とにかくそれをどう出すのかで考えている。会社単体の中での売上総利益がどうなっているかをみている。
人材紹介の両手型の案件担当者一人あたり年間MAX10件ぐらいは決めてくれという思いで勧めている。
いかがでしたでしょうか? 各金融機関とも様々な取り組み状況にありますが、全体的な方向性として伺えるのは、
両手型の人材紹介業務に向け体制を強化し始めた金融機関が確実に増えていること、一方で多くが事業確立や収益化に向けて試行錯誤している最中であることであり、
こういった地域金融機関同士のコミュニケーションの場の重要性・必要性を改めて感じる機会となりました。
次回以降も有用な内容となるよう努め、またこちらにて内容を報告させて頂く予定です。