2021/6/24配信メールマガジンアーカイブ


 

【Vol.9】【両手型の人材紹介業務】効果的な人材マッチングとは?


第8回に続き、地域金融機関における人材紹介業務を成功させる秘訣についてお送りいたします。

前回のテーマは「効果的な人材サーチ・スカウティングとは?」でした。
今回のテーマは「【両手型の人材紹介業務】効果的な人材マッチングとは?」です。
(当メルマガのテーマは、皆様からの御意見・御質問をもとに作成しております)
https://www.chihousousei-hiroba.jp/recruitment/recruitment_NEW_inquiry.html


以下3つの項目に沿ってお伝えしていきます。


特に今回は、「両手型」の人材紹介業務を本気で目指す地域金融機関の皆様の悩みに
本気で応えるべく、その業務内容を詳細に、かつ具体的に記載しております。
長文となりますが最後までお付き合いください。
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1. 人材マッチングの定義について
2. 事前面談の実施内容について
3. 効果的な人材マッチングとは?
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【1. 人材マッチングの定義について】
そもそも人材マッチングとは人材紹介業務においてどのような作業を示すのでしょうか?
実は広義には、人材紹介サービス全体を指します(人材派遣サービスも含めて定義するケースもあります)。
少し定義を絞ると、人材紹介サービスにおける人材サーチから内定までの工程の作業を指す場合もあります。
そして狭義には、人材サーチ・スカウティングを行った後、求人企業への実際の候補者のご紹介から入社に向けた合意形成をする迄の工程の作業を指します。

今回、地方創生カレッジで扱う「人材マッチング」に関しては、狭義の定義にある内容でお話をさせていただきます。



【2. 事前面談の実施内容について】
スカウトメールへの返信があった候補者を企業側に取り次ぐ人材マッチングを効果的なものとするために、人材紹介事業者として候補者と「事前面談」を必ず行います。

候補者に対し求人の内容とその魅力をお伝えし、且つ候補者のキャリア・スキルをお聞きしながらお互いにその適性度合いを確認し、最終的に求人応募の意思確認を行います。
これは人材紹介業務における非常に重要な工程の一つといえます。
(事前面談はスカウトメールへ返信のあった候補者と直接日時調整の上実施します。
最近は電話面談やWeb面談で実施することが一般的になっています。)

まず事前面談の冒頭では、金融機関が人材紹介業務を行っている目的を説明します
(地域企業の成長支援のために経営幹部人材を外部から招聘する必要であることとその理由、その支援が地域金融機関にとって重要であり必須である理由等について簡潔に説明します)


その後で求人の内容を魅力的にお伝えします。
会社概要、強みや魅力・社長の人柄や哲学を説明した上で、将来あるべき姿に向けての経営課題について説明します。
その経営課題を解決するための重要なミッションを担う中心的役割として期待されるのが今回の求人である、ということを候補者にアピールします。
さらには外部の都心人材をなぜ採用しようとしているのか、背景や目的を十分に説明しながら、求人内容への共感・関心・興味を喚起していきます。


最終的にポジション・ミッション・サラリー(給与)を主とする「基本条件」の提示を行い、本格的な関心・興味をいただけた場合は、候補者への「初期スクリーニング」を開始します。


まず求人内容に合致するような点を踏まえながら候補者の具体的なキャリア・スキルの内容をヒアリングしていきます。
この際、候補者が予め提示している職務経歴の内容に沿いつつヒアリングしていきます
(候補者の職務経歴については、ビズリーチはじめとする転職者DBへ予め候補者が登録している内容をベースとすることが一般的です
(地域人材はじめ金融機関で独自に興した人材チャネルからの候補者の場合は別途直接提出いただいたレジュメを元にヒアリングします)


最終的には今後のキャリア指向性や自身の仕事に対する考え方、転職に関する意向(転職理由、希望する転職時期、その他条件)までヒアリングしていき、今回の紹介求人内容および求人企業の社風・組織・業務環境・経営者の性格や方針との適性を多角的に
評価していきます。
こうしてその候補者が求人企業の定めた経営課題や事業ミッションを全うして活躍できる方かどうかを診立てていきます。


また事前面談で直接対話することによって、候補者のコミュニケーション能力や論理的思考力および仕事への哲学や性格を確認することができます
(因みに職務経歴書の内容からは、文章スキルや論理的構成力及び転職への熱意や積極性を推し量ることもできます)

こうしたトータライズな初期スクリーニングを通して、求人に求められる人材要件に適しているかを人材紹介担当側、候補者側双方で総合的に判断し、求人企業への応募の意思を確認します。
応募の意思がある候補者へは、企業面接の段取りを説明し日程の調整や正式なレジュメ(最新の職務経歴書と履歴書)の提出の段取りを整えます。


なお候補者が都市圏に在住・勤務している場合に抱く地方企業への転職時の懸念点等については、早期に解消すべく気にされる内容を率直にヒアリングし、その場で回答できることは回答し、確認が必要なことは「求人企業とも確認の上回答します」と預かり、安心感を持っていただけるような丁寧なフォローを重ねます。地域の金融機関がこれをフォローすることは民間の人材紹介会社と比較して候補者にとっては大きな「心理的安全性」を確保
できるといえます。


因みによくある懸念事項としては、生活環境全般はもとより、遠隔地勤務による各種制度や手当、ひいては入社時の現地への引越し含めた初期費用、現地での日常の交通手段やその費用の補助の有無に至るまで、極めて実際的な内容が多い状況です。これらの類については、求人内容を企業側と作成する際に予め示し合わせておくことが大切です。結果的に事前面談での候補者への効率的・効果的なフォローにつながります。



【3. 効果的な人材マッチングとは?】

狭義でいう「人材マッチング」は、応募意思のあった候補者を企業側に紹介する工程から、入社を前提とする基本的な合意形成の工程までの一連のプロセスを示します。

このプロセスは言わずもがな、地域金融機関における「両手型」の人材紹介業務の成否を
大きく左右します。このプロセスを効果的に遂行するためには次のステップをふみます。


◎レジュメの送付と「推薦状」の添付
まずは応募意思のあった候補者のレジュメ(職務経歴書・履歴書)を企業側へ取り次ぐこと
から始まります。レジュメの取次にあたっては、可能な限り人材紹介機関としての「推薦状」
を作成しレジュメに添付して企業側へ送付します。


「推薦状」の作成にあたっては、候補者が新卒入社からの職歴について順を追って説明していきます。
ポイントとなるのは、候補者が在籍した会社ごとの「その会社への入社を選択した理由や転機」「その会社で得たキャリア・スキル・マインド」の記載です。


「推薦状」における最後のセンテンスには、長年に渡って積み重ねたキャリア・スキル・マインドを総合的に勘案して今回の求人への適性が高いと判断できる、ということを盛り込みます。


また、候補者のレジュメ(職務経歴書・履歴書)自身についても必要に応じて修正のアドバイスを行い、より効果的なレジュメ内容となるようフォローします(企業側に好印象を与えつつ適性のある部分を訴求できるような内容に修正いただきます)。


◎丁寧な候補者面談サポート(企業側の熱意を示す面談設定)
まず地域金融機関の人材紹介業務担当として候補者の面談・面接には同席することは必須です。また初回面談・面接には社長自らが対応いただくことを提案する必要があります。
その前提で候補者面接の場を設定・日時調整します。


なお業務分掌や役割分担がしっかりしていて組織的に採用業務を行っている求人企業に対しては、初回面談から役員クラスの方が一名以上参画いただき会社としての本気度を示していただくことを提案します。

初回からこういう面談・面接への配慮を講じることが候補者への非常に重要なメッセージとなり成約確度も格段に上がります。


好感触が得られた場合には当初想定していたプロセス(次の面接など)を切り上げてでも候補者へ早めの内定を出す等の積極策も検討します。会食の設定も時と場合に応じて効果的となります。


◎丁寧な候補者面談サポート(面談における論点の事前フォロー)

実際の面談の場では、対象企業・候補者の初回面接時、最大限距離が縮まるような面談を演出します。
そのためには企業・候補者それぞれが知りたいことを人材紹介担当として予め丁寧にヒアリングしておき、事前に両者に伝達しておくことで、面談内容が双方にとって有用であるように調整することが大切です。


また通常の面談の他、たとえば、候補者のリーダーシップやロジカルシンキング(問題解決能力)を見極めるため、プレゼンテーション形式の面接にする等の提案を行うことで面接方法を柔軟に切り替え、双方が納得する場をつくることも考えられます。
一般の選考ではなく、幹部の採用であるということを考え、適切な形か十分な検討を行います。


これまで社内にいない人材タイプである場合には、社長との相性がどうか、また互いの能力を保管し合いながら経営課題解消のストーリーが描けるか等を想像しながら検討を進めてください。


◎丁寧な候補者面談サポート(候補者ファーストの面談調整)
また候補者の応募他社との採用進捗へも考慮して、その時々に応じた最適な面接の進行を提案します。
具体的には、例えば社長が採用したいと思った候補者が既に他社内定を持っている(あるいは得ようとしている)場合は、次回の面談を内定内示の含みをもたせながら早急な日程提示をしたり、可能な範囲で候補者から内定他社の条件や進捗をヒアリングし、それに併せる形で条件の提示を行ったりという形です。


◎面談・面接フォローアップ
求人企業と候補者の面談・面接は一度では終わらず2~3回かかるのが通常です。
この流れにおいては面談・面接の都度、求人企業側、候補者側の双方へ面談後フォローアップを欠かさないことも成約の成否を握ります。
面談・面接の過程で生じる相互のギャップを卒なく吸い上げ、かつそれを埋めて円滑な相互理解を促していくフォローができれば成約確度は格段に上がっていきます。


具体的には、毎回の面談・面接が終わった直後に企業側、候補者側双方へタイムリーに連絡を入れ、それぞれの感想や意向を吸い上げ相互へフィードバックを行うことが非常に効果的なフォローとなっていきます。