2021/6/9配信メールマガジンアーカイブ
【Vol.8】効果的な人材サーチ・スカウティングとは?
第7回に続き、地域金融機関における人材紹介業務を成功させる秘訣についてお送りいたします。
前回のテーマは「【特別編】地域金融機関から地方創生カレッジへのQ&A事例」でした。
今回のテーマは「効果的な人材サーチ・スカウティングとは?」です。
(当メルマガのテーマは、皆様からの御意見・御質問をもとに作成しております)
https://www.chihousousei-hiroba.jp/recruitment/recruitment_NEW_inquiry.html
以下2つの項目に沿ってお伝えしていきます。
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1. サーチ以降の手順と人材DBの確保
2. 効果的なサーチ・リストアップとは?
3. 効果的なスカウティングとは?
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【1. サーチ以降の手順と人材DBの確保】
人材サーチに入る前の工程である人材要件定義段階までは、経営者とも必要な人材イメージが共有されています。
ところが、いざ人材サーチを始めてみると経営者と合意した人材要件をすべて満たしている人材(候補者)がいない、或いは満たしている人材がいるものの人材側の望む条件(サラリー・ミッション・ポジションetc)が合わない等、ズレが生じてくることが多々あります。
この課題への対策としてはまず、利用する人材データベースごとに個性があり、対象となる階層レベル(経営人材、実務層、担当者etc)や登録時の必要項目記載・自由記載内容などがそれぞれ違っている事を理解する必要があります。
その上で、支援対象としている取引先企業が求める人材層が登録されているデータベースを探し利用できるよう準備していくことが大切です。
例をあげますと、エグゼクティブクラスの幹部人材をサーチするには、登録者の年収帯が比較的高い「ビズリーチ」、「Glocal Mission Jobs」、ミドルクラスの幹部人材には「エン・ジャパン(ミドルの転職)」、幹部候補人材や担当者クラスも含めてサーチするには「dodaMaps」といった形です。
また人材サーチを初めて行う金融機関の場合は、人材データベースを提供する会社が実施する研修やOJTに積極的に参加し、人材データベースの具体的な使い方や人材市場の分布の理解(どの業種・職種にどういうキャリア・スキル・年収でどれくらいの人がいるのか)といった感覚を掴んでいくことが非常に大切となります。
※地方創生カレッジ 関連コンテンツ
[STEP5 人材サーチ]-人材サーチ~(サーチ以降の手順と人材DBの確保)
https://www.chihousousei-hiroba.jp/library/jinzai_202012/STEP5/01.pdf
【2. 効果的なサーチ・リストアップとは?】
人材データベースへのアクセスが可能となったら早速人材サーチを試みます。
サーチにあたっては、利用するデータベースを最大活用・最適活用するために幾つかのポイントを押さえて「サーチ設計」を行います。
まず、課題解決に必要となるスキル・キャリアに関する条件(業種・職種・キーワード他)を定義し初期スクリーニングとして最初のサーチを行います。
この際はさほど条件を固めずに幅広く行うことがコツです。検索ヒット数が少ない場合には、定義するキーワード・条件を工夫しながら変更することを繰り返しながら、傾向を掴んでいきます。
こうしてサーチを重ねる中で、転職条件として重要となる候補者の年収帯も把握していき、経営者と合意した年収金額との乖離があれば都度協議します。
具体的には、募集条件の年収を希望年収帯に合わせるよう調整し、逆に年収金額を変えずに当初の人材要件を緩和する調整を行うなどして、転職市場に実在する候補者の条件に合致するようなサーチとする必要があります。
また、地域企業向けの人材サーチで重要な条件として、地方転職の意思を確認するために人材(候補者)の希望勤務地・現在居住地・出身大学等をチェックすることが挙げられます。
希望勤務地に地方県を記載している場合は、地方企業への転職のハードルが当然低いことが予想されますし、希望する県に含まれていない場合でも、出身地や出身大学のある縁故地への転職であれば考慮される場合があります。
地方企業向けの人材リストづくりにおいては、単純な条件検索ではない、「可能性」について如何に考えていけるかという「想像力」も必要といえます。
一通りのサーチを経つつ有望な候補者を抽出し、リストアップしていく必要がありますが、最初の段階では「機械的」に客観的なキーワードや条件を入力しスクリーニングできた候補者を一覧表にし、後々まで比較検討できるようその後の基準としていきます。
抽出できた候補者のうち、年齢や希望年収等が募集イメージから外れる候補は除外します。
職務経歴上の過去の経験に基づき、さらに企業風土や社長の気質・経営スタイルに合わない候補者は初期段階で除外します。
例えば上場企業の幹部経験者で意思決定のみを主に司っていたようなキャリア人材は十分な能力を持ちながらも、プレイングマネージャであったありマルチタスクの役割を期待される中小企業の人材要件に合わない可能性などが考えられます。
こうして第一段階目のリストアップを行いますが、件数的には案件次第で30件~50件程度まで絞り込むことが理想です。
二段階目としては、ピックアップした人材の職務経歴やプロフィールを詳細に読み解き今度は「選択的」にリストアップを行っていきます。
職務経歴やプロフィールから読み取れるキャリア(業務経験)・スキル(技能)とその質を想像しながら、企業の課題解決に貢献できる人材かを見極めます。
またキャリアの変遷から、どういった志向・哲学で過去転職してきたのか、また今回転職しようとしている理由について、候補者の興味・関心事を想像していきます。
さらには、職務経歴やプロフィールの構成の仕方、文章力や表現方法、言葉遣いからも、候補者の能力(論理的思考力・構造化力・文章力・配慮力)を読み取ったり、仕事以外のプライベートな側面からも含めて人柄・人となりをイメージし、企業の社風や社長の気質・経営スタイルとあいそうなタイプかを想像することも必要となってきます。
またサーチ業務に関しては、ご理解いただけるとおりサーチ経験を重ねれば重ねるほど熟練するスキルとなるため、人材紹介業務の体制強化を図る場合は、専門の「リサーチャー」をアサインすることが非常に現実的で効果的です。
※地方創生カレッジ 関連コンテンツ
[STEP5 人材サーチ]-人材サーチ(候補人材への連絡(スカウティング))
https://www.chihousousei-hiroba.jp/library/jinzai_202012/STEP5/02.pdf
【3. 効果的なスカウティングとは?】
人材のリストアップが終わり対象とする候補者が確定したら、いよいよ実際のスカウティングに入ります。
まず候補者との初期コンタクトの段階で「取り込む」ための効果的な接触の仕方を考えていきます。
候補人材に対する初回接触に於いては確実に相手の興味を喚起するため以下のような内容を盛り込み、幹部候補としての期待を適切に伝えるようなコミュニケーションをとります。
・注目されやすい求人情報、求人タイトル及びインパクトあるメッセージを考案
・候補者に連絡をした理由と職務経歴を確認して選ばれた方であることを伝達
・求人の魅力が十分に伝わるようなコンテンツ(内容)を考案
・求人の背景や企業の魅力・ミッションの魅力を盛り込む
また、スカウト文の冒頭で金融機関による人材紹介であることを伝えることは非常に重要です。
通常の人材紹介会社の配信したスカウトメールの返信率は10%程度ですが、地域金融機関が配信した場合の返信率は30%前後です。
金融機関への求職者の期待が高いことが伺えます。さらには、非公開求人で扱っていること含め、限定した情報のみを記載し、「もっと知りたい」と思ってもらうことで候補者の興味や関心を喚起することが有効な場合が多々あります。
なお、最近はパソコンよりもスマートフォンで求人情報を確認する候補者が非常に多いため、スマートフォンで読みやすい見出しや文字数、件名などにも配慮したスカウト内容としていくことが必要となります。
※地方創生カレッジ 関連コンテンツ
[STEP5 人材サーチ]-人材サーチ(候補人材への連絡(スカウティング))
https://www.chihousousei-hiroba.jp/library/jinzai_202012/STEP5/02.pdf