2021/4/23配信メールマガジンアーカイブ
【Vol.5】現実的な解決策の検討
第4回に続き、地域金融機関における人材紹介業務を成功させる秘訣についてお送りいたします。
前回のテーマは「現実的な課題整理のノウハウ」でした。
今回のテーマは「現実的な解決策の検討」についてです。
(当メルマガのテーマは、皆様からの御意見・御質問をもとに作成しております)
https://www.chihousousei-hiroba.jp/recruitment/recruitment_NEW_inquiry.html
以下3つのポイントに沿ってお伝えしていきます。
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1. 解決策検討に必要な課題整理を考える
2. 常に「人材」の切り口で考える(選択肢を持つ・組み合わせる)
3. 企業のリソース状況やステータスに配慮する
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【1. 解決策検討に必要な課題整理を考える】
「解決策を検討する」ためには、(当然ではありますが)妥当な課題整理が出来ている必要があります。具体的にはどういう事でしょうか?
経営課題の整理において「事業課題」の抽出・整理は必須ですが、それだけで実効性のある解決策を検討出来るケースは稀です。
「事業課題」の解決を考えるということは、具体的には「業務課題」と「組織・人課題」に分解して整理する事であり、これも「解決策検討」の第一歩と言えます。
(事業性評価を行っている支援先以外に対しても同様の対応が必要です。その際、それを一方的に自行でカバーするのではなく、経営者への質問・傾聴を繰り返す中で共に整理していくことが現実的かつ効果的です)
そして夫々の「業務課題」「組織・人課題」に必要なタスクをイメージしながら、それらが既存のリソースで解決できるのか、外部のリソースも使って期間限定のプロジェクトを企画・推進するのか、外部から正社員で幹部人材を招聘すべきなのか、或いはそれらの方策を組合せて解決策とするべきかを検討する。こういう進め方が極めて現実的といえます。
具体的な例として、急成長を遂げつつ「IPO」を短期間で目指すことを事業課題としている企業がありました。
そのために証券会社との折衝や内部統制やコンプライアンスによるガバナンスの確立を挙げることは勿論ですが、事業課題を分解して掘り下げてみると「業務課題」として、下記2点の必要性が明らかとなりました。
・急成長の歪みで属人化した業務の可視化・標準化、IT活用した効率化
・「組織・人課題」として「業務分掌・決裁権限の見直し」「評価制度を通した人材育成」
こうして洗い出されたタスクレベルの具体的な課題内容と解決策まで協議しながら、最適なリソース調達と活用方法を検討します。
今回の例では、下記のように人材の活用方法まで突き詰めて協議していく、という進め方が極めて現実的な「解決策の検討」の例となります。
・IPO達成において実務経験のある人材を外部から招聘するか、プロジェクトカットで外部コンサルを登用する
・初期フェーズとして副業プロ人材を登用して企画・計画フェーズだけ推進するのか等を経営者と協議する
※地方創生カレッジ 関連コンテンツ
「STEP2 経営課題の整理」
https://www.chihousousei-hiroba.jp/library/jinzai_202012/STEP2/02.pdf
「STEP3 解決策の検討」
https://www.chihousousei-hiroba.jp/library/jinzai_202012/STEP3/01.pdf
【2. 常に「人材」の切り口で考える(選択肢を持つ・組み合わせる)】
「企業の「課題解決」を「目的」として「人材」という「手段」で支援する」
事業課題、業務課題、組織・人課題に対する解決策の内容・前提・パターン等は取引先ごとの要件や状況によって多岐に渡ります。
しかし最も大切なのは常に「人材」の切り口で解決策を柔軟に考えることです。
具体的には「正社員での幹部人材採用」以外に「副業プロ人材の登用」「有償コンサルの登用」も、地域企業に新しい知見や価値をもたらす人材の提供であると考え、必要に応じて柔軟に提案することが効果的な企業支援に繋がります。
実際にこれを可能とするためには具体的に二つの事が必要です。
一つは、自行として予め課題特性ごとに人材のタイプや支援のスタイルを定義して関係者で共有し、支援先の要件に応じて柔軟に支援できる体制・ルールを確立しておくことです。
もう一つは、課題特性ごと各人材市場にどういう人材が実在するのか(キャリア・スキル・年収帯他)について、常日頃から提携先の人材紹介会社やパートナーと密に連携して地道にキャッチアップしていくことです。
因みに、限られた時間や予算でプロフェッショナルなスキルや知見を発揮する「副業プロ人材」の採用は「EC販路の立上げ」「新規事業の立上げ」「事業計画の策定」等 において従来から需要がありますが、特に最近のコロナ禍においては、減少する売上や利益の回復に向けて、更にその需要が増しています。
一方で地域の中小企業では、「副業プロ人材の中には、都市圏にしかいないような経営幹部クラスの人材や高度専門人材が増えてきている」ということを知らない経営者の方も沢山いらっしゃいます。
内外の事例も含め具体的な情報提供を行いながら「副業プロ人材」の存在と活用を提案していくことも、非常に大切な地域企業への支援となります。
また解決策の検討において、複数の人材タイプを並列や順列で組合せて登用する方法も効果的なケースが多々みられます。
例えば先に上げた短期でのIPO実現を事業課題とするケースを取り上げると次のような組合せがあります。
最初の検討・企画フェーズから最後まで支援を仰ぐ証券会社の活用に加え、下記①〜③のような人材支援を行なっていく、こういった形で網羅的且つ効果的な伴走支援を行なっていくことが、取引先の成長支援と関係構築を確実にしていきます。
①企業側の立場で検討・企画を支援する副業プロ人材を紹介
②スケジュール・予算・体制が洗い出されて実施フェーズに入る前後にIPO経験を持つ幹部人材を正社員として人材紹介
③②と併行して業務効率化と業務プロセスの標準化については自行が提携するITコンサル会社をビジネスマッチングで投入
※地方創生カレッジ 関連コンテンツ
「STEP3 解決策の検討」
https://www.chihousousei-hiroba.jp/library/jinzai_202012/STEP3/01.pdf
【3. 企業のリソース状況やステータスに配慮する】
似たような事業課題や業務課題であっても企業内の詳細の状況を把握すると解決策が異なる場合は多々あります。
支援先の企業のおかれるステータスやリソース次第では、その解決策について総合的に組み立てる必要があります。
例えばご支援先が再生フェーズの場合、状況によっては解決すべき課題のスコープが成長に向けた内容ではないケースもあり、その場合は正社員での幹部人材招聘はタイミングを図る必要があります。
具体的には、まず再生系の企業を幾つも支援してきた経験を持つ副業プロ人材や業務委託でのプロ経営者の招聘を行い、再生ステータスが進んで再度の成長フェーズに差し掛かる時期に改めて正規雇用での幹部人材を招聘することが現実的な場合が多くあります。
別の事例では、とある支援先から離職率の高い部署の幹部人材の正規採用支援の依頼を受けて実態把握と課題整理を行いました。
その結果、本質的な課題は業務効率化であると判明しました。
かつ社内のリソース状況として日々の業務で逼迫しており、またIT推進に関するリテラシーも非常に低いことを鑑み、既存の部員による業務改善推進は現実的でないと判断しました。
このため幹部採用は一旦見合わせた上で業務改善とIT活用に長けた副業プロ人材を提案・登用し、それによって当部署の属人的かつ煩雑で非効率な業務の解決が実行できました。
この結果離職率も大幅に下がり、最終的に幹部人材採用につながり定着することとなりました。
さらに他の事例では、経営者の方が幹部人材の正規雇用を望まれているものの、経営課題についてヒアリング・協議した結果、経営者との課題設定や解決策が折り合わないというケースもありました。
このケースについても具体的な幹部人材の提案を一旦取りやめました。
ただしご支援は継続し、業界における同業者の課題解決事例や人材市場のトレンドについての情報提供を複数回続けた結果、最終的に課題設定や解決策の協議が折り合い、適切な幹部人材の採用にいたる支援となりました。
取引先の成長支援において正規雇用での幹部人材の採用は一番効力があるものの、上記のとおり最適なタイミングを図り、リソース状況によっては外部から幹部人材を雇用するに相応しい環境・条件づくりへも配慮していくことが必要と言えます。
※地方創生カレッジ 関連コンテンツ
「STEP3 解決策の検討」
https://www.chihousousei-hiroba.jp/library/jinzai_202012/STEP3/01.pdf
「STEP4 人材要件定義」(成約率UPのための人材要件定義-副業プロ人材の提案②を参照)
https://www.chihousousei-hiroba.jp/library/jinzai_202012/STEP4/02.pdf